「民主主義のための社会保障」香取照幸(東洋経済新報社)
「元法制局キャリアが教える 民法を読む技術・学ぶ技術」吉田利宏(ダイヤモンド社)
Live! 政策法務 in Kochi
去る10月5日、高知県自治会館に研修講師としてお邪魔しました。高知県人づくり広域連合さんの主催で、担当は政策法務です。
先月までは、集合研修の実施も危ぶまれましたが、無事に開催されて何より。私にとっても、1年半ぶりの出張研修講師でした。
参加者の皆様の熱心な姿勢が当方の刺激にもなります。
「地域課題の解決のために自治体が独自条例を作っていたところに、後追いで国が法律を作った場合、それまでの条例の一部が法に抵触するときは、どのように対処すればよいのですか?」
うん、よい質問。
自治法14条の説明と空き家条例の事例を紹介して、国の立法施策の在り方にも関係があるんだよねと、刊行されたばかりの礒崎初仁先生の「立法分権のすすめ ―地域の実情に即した課題解決へ」(ぎょうせい)を紹介しました。
スタッフの皆さま、ありがとうございました。
「立法分権のすすめ ―地域の実情に即した課題解決へ」礒崎初仁(ぎょうせい)
条例の制定は「法律の範囲内で」と限定されますが、地域の課題解決のために、その限界についてはこれまで解釈が重ねられて来ました。
本書では、これまでの分権改革を振り返り、今後の立法による分権の必要性が論じられています。
ここで「立法」とは、自治体の条例のみならず、その効果的な運用を見据えた法律の見直しも含まれます。
各分野の法令について、章を一つ使っての「規律の細かさ」に関する検討は読みでがあります。
分析を踏まえ、立法分権をどう進めるか、それを妨げるものは何か、議員・職員は何ができるか、にそれぞれ1章を充てて分析がされています。
そして最後の章では、「新型コロナウイルス対策に立法分権は有効か」と題して、喫緊の難局を題材としての検討。
自治立法論の最前線。勉強させていただきました(^-^)
『公務員の「強み」の活かし方』
1「行動・事実」 2「感情・想い」 3「思考・理解」
それぞれへの適否について分析すると、私自身は、1△、2✕、3〇、でしょうか。
人は、意外と自らの「強み」を認識していないそうです。なぜなら「うまくできたとき」は、改めて認識がないからとのこと。
逆に言えば、自分の得意パターンを意識して見つけることは、仕事や人間関係において非常に役に立つということになります。
異動が多いのは公務員の常ですが、具体的な知識・技術ではない、抽象的な「強み」はどこに行っても応用が利く。
また、自らの「強み」が見えれば、他人の「強み」も見えてきます。であれば、どのように協力を行っていくか。
そして最後は、リーダー論。励まされる内容です。
「「終活」事業と自治体」報告@かながわ政策法務研究会
先頃zoomで実施された、かながわ政策法務研究会で、「「終活」事業と自治体」と題した報告をさせていただきました。
昨年「法学セミナー」誌の特集「終活と法」への寄稿をもとに、その後の動きも含先ごろた内容です。
神奈川県大和市では、先の6月議会において全会一致で執行部提案の「終活条例」が可決されました。
おひとりさまが今後ますます増えていくことが予測される中、大和市は、これまで行ってきた終活に関するさまざまな施策やそれを貫く理念を条例という形で位置づけることで、「一人になっても独りぼっちにさせないまち」を実現していきます。
ネットのニュースでは、そのことを取り上げた記事は見つけられませんでしたが、今後の全国の動きは気をつける必要があると思います。
報告に当たっては、自治体学会のため一昨年前に「墓じまい」について聞かせていただいた、都立八柱霊園うめや石材店の三浦輝美さんのお話しを参考にさせていただきました。改めてありがとうございます。
なお、上記の「法学セミナー」の終活特集は、kindleで500円で購入できます。ご興味ある方は、よろしくお目通しください(o^-')b
「条例の種を見つけて作れる!変化に応じて見直せる!「生きた」議員提案条例をつくろう」
内容は、議員提案条例の意義と策定のプロセス、立案に当たっての注意事項など。
会派の意見とりまとめや委員会の運営などの説明は、実務に詳しい著者ならでは。
新規提案だけでなく、首長提案条例に対する一部改正も事例を挙げてポイントを解説しています。
なお、立法事例として挙げられた中には「乾杯条例」「ネット・ゲーム依存症対策条例」など議論があるものもありますが、著者は留意しなければいけないポイントについて指摘を忘れません。
独立した議員を個人商店に見立てて、「チーム議会としての組織力向上は商店街活性化の発想で」(158頁)という指摘にはなるほど!と思います。