自治体法務の備忘録

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規制対象事業場認定処分取消請求事件

12月24日の記事の補足。判決文を見ました。

本件条例は,水源保護地域内において対象事業を行おうとする事業者にあらかじめ町長との協議を求めるとともに,当該協議の申出がされた場合には,町長は,規制対象事業場と認定する前に審議会の意見を聴くなどして,慎重に判断することとしているところ,規制対象事業場認定処分が事業者の権利に対して重大な制限を課すものであることを考慮すると,上記協議は,本件条例の中で重要な地位を占める手続であるということができる。(中略)被上告人としては,上告人に対して本件処分をするに当たっては,本件条例の定める上記手続において,上記のような上告人の立場を踏まえて,上告人と十分な協議を尽くし,上告人に対して地下水使用量の限定を促すなどして予定取水量を水源保護の目的にかなう適正なものに改めるよう適切な指導をし,上告人の地位を不当に害することのないよう配慮すべき義務があったものというべきであって,本件処分がそのような義務に違反してされたものである場合には,本件処分は違法となるといわざるを得ない。

 条例に定められた「協議」について、その趣旨にのっとり、適正に対処しなかった、と言うことのようです。
 特定の業者を押さえるために、形式的に条例だけ作って、というのはアウトよ、と言われてみればなるほどです。一概に上乗せor横だしどうこうの話ではないのですね。
 しかしながら、当該自治体における詳しい経緯が不明なのでなんとも言えないところはあるのですが、実務的に協議が行える期間があったのでしょうかね。ギリギリせっぱつまった状況での条例制定であったようなので、制定後の取扱いも十分な時間がとれなかったのかな、なんて担当者に同情したり。