自治体法務の備忘録

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行政事件訴訟法に係る教示制度の案について

 行政事件訴訟法の一部を改正する法律(平成16年法律第84号)の施行に伴う取消訴訟等の提起に関する事項の教示制度の新設されたわけですが、なんかうまい文面がないか無い知恵を絞ってます。とてつもない長さになるので。様式の下の方に、ちらっと2行ぐらいで入れるわけにはいきませんからね。
 まず、前回(12月24日)にリンクした、平成16年12月14日付け北海道福祉事務所保健福祉部社会福祉課長からの各市町村介護保険主管課長あて文書に記載の文例

1 この処分について不服がある場合は、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、北海道介護保険審査会に審査請求をすることができます。
2 この処分について不服がある場合は、前項の審査請求に対する裁決があったことを知った日から6月以内に○○市(町・村)(訴訟において○○市(町・村)を代表する者は○○市(町・村)長となります。)を被告として、○○地方裁判所に処分の取消しの訴えを提起することができます。
 なお、裁決があったことを知った日から6か月以内であっても、裁決の日から1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。
3 この処分については、第1項の審査請求の裁決を経た後でなければ、裁判所に処分の取消しの訴えを提起することができません。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、審査請求に対する裁決を経ないで処分の取消しの訴えを提起することができます。
(1)審査請求があった日から3か月以上経過しても裁決がないとき。
(2)処分、処分の執行又は手続きの続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
(3)その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。

ううむ、ちょっとくどいように感じますが、知事あて司法制度改革推進本部事務局長通知の趣旨は良くくんでいます。「○○裁判所」って、そこまで書く必要があるのか、とは思いますが。

 次に、地方税法施行規則の一部を改正する省令(平成16年総務省令第141号)に特別徴収額の通知書(サラリーマンが年1回もらう細長いアレ)の改定がのっていた。目が痛くなるほど小さい字で書いてある。

あなたの特別徴収税額を左記のとおり変更したので、地方税法第41条及び第321条の6の規定によって通知します。また、この処分に不服がある場合は、この通知を受け取った日の翌日から起算して60日以内に市(町・村)長に対して異議申立てをすることができます。この特別徴収税額の決定の取消しを求める訴えは、前記の異議申立てに係る決定の送達を受けた日の翌日から起算して6か月以内に市を被告として(市(町・村)長が被告の代表者となります。)提起することができます。なお、処分の取消しの訴えは、前記の異議申立てに対する決定を経た後でなければ提起することができないものとされていますが、①審査請求があった日から3か月以上経過しても決定がないとき、②処分、処分の執行又は手続きの続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき、③その他決定を経ないことにつき正当な理由があるときは、裁決を経ないでも処分の取消しの訴えを提起することができます。

 うまくまとまっているなあ。
 個人的な意見ですが、「裁決の日から1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなる」旨の教示までは不要なのでは、と思います(するに越したことはないけど)。「1年云々」は「客観的」な徒過であるので、処分の相手には「主観的」な徒過である「6か月云々」の記載で足りるのでは無いでしょうか。
 行政不服審査法に規定される教示義務の取扱いについて、処分の相手には「主観的」な徒過である「60日」で記載している例がほとんどだと思います。
 今後は、行政不服審査法行政事件訴訟法の教示が並ぶことになる訳なので、記載の考え方に不統一があるのは、望ましくない。

 しかし、改めて思うのは、お手本が無いと仕事ができない「役人の発想」にそまってますな。と言いつつ、参考になりそうな他の省令を調べてみよう。