自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

ピンクチラシ張り付け行為に罰則 県迷惑防止条例改正へ、県警が骨子 /岩手

県警は繁華街の電話ボックスなどに張られるピンクチラシの規制強化のため、県迷惑行為防止条例の改正に向けて骨子をまとめた。チラシを張り付ける行為そのものに罰則を設ける内容で、6月議会での提案を目指している。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/iwate/news/20050107ddlk03040121000c.html

パブリックコメントの募集はこちら
http://www.pref.iwate.jp/~hp0802/oshirase/pabukome/pd2-2.pdf

 ピンクチラシに対して罰金規定のある条例というと、福岡市ピンクちらし等の根絶に関する条例(平成14年福岡市条例第60号)http://www.city.fukuoka.jp/reiki2/reisys/reiki_honbun/q0030646001.htmlが先駆けでしょうが、この度の岩手県条例は、警察が組織としてある「県」の条例として定められることに意味があると思います。
福岡市の条例を初めて見たときは、「6月以下の懲役又は100万円以下の罰金」という規定に目を丸くしました。美観条例として規定されるには、随分過大な金額だと思ったからです。
 しかし、第1条の目的規定をよく見返してみると、「青少年の健全な育成」も掲げられている。
 なるほど、ピンクチラシの実体は、上記のリンク先の記事にもあるように「デートクラブ唯一の集客手段」、つまり、売春の斡旋に他ならないものであるわけで、厳罰をもってのぞむ規定の必要性があるわけです。
 そうなると、対象の性格から、地方公共団体でも、警察権力を持つ都道府県条例が望ましいのかとおもったり。
 なお、上記の福岡県の条例について、

(掲示等の禁止)
第7条 何人も,公衆電話ボックス内,公衆便所内その他公衆の用に供する建築物内又は公衆の見やすい屋外の場所に,ピンクちらし等を,はり付けその他の方法により掲示し,又は配置してはならない。
2 (略)
(除却)
第10条 何人も,第7条第1項の規定に違反して,はり付けその他の方法により掲示され,又は配置されたピンクちらし等を除却し,又は廃棄することができる。
2 何人も,正当な理由なく,前項の規定による除却又は廃棄を妨害してはならない。
3 第1項の規定による除却及び廃棄は,この条例の目的に従って,適切に行われなければならない。
4 市は,第1項の規定による除却及び廃棄が適切に行われるよう,講習の実施その他の必要な施策を講ずるものとする。

第10条の規定が、厳密には財産権の侵害になる可能性がある旨の指摘を伺ったことがあります。確かに、道路法都市公園法などでは、除去物の保管等について厳に規定されていますからね。
 しかし、目に付いた市民が自由に街をきれいにできないと条例の実効性が無いわけで。
 (誤解しないでいただきたいのですが、私は、この条例が「違法」だと言っているわけではありません。政策法務論における思考実験とお含み置きください。)