自治体法務の備忘録

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法制執務担当に何ができるか

 なんか法制執務の話、しかも愚痴ばっかり言ってますが、この時期だから許してください。(一昨日もなんか「♪」とか、頭に虫がわいています。)
 先日のコメント(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20050207)で担当課で「やりたいことが決まってないことが多い」と、書いてしまいましたが、厳密に言うと「法規的に」決まってない、と言うべきですかね。給付行政でも規制行政でも「こういうことをやれないかなあ」というモチベーションは、(通常は)あるので。
 問題は、その「こういうことをやる」ことについて、「何をどのように規定ぶったら良いのか、よくわからない」ということが多いことです。ここにおいて、5W1Hの規定ぶりを示すことに法制執務担当の役割が大きくなってしまう原状があるのであろうな、と思うわけです。
 であれば、森で迷った際に地図を頼りにするように、法の森で迷った場合のロードマップの「見方」を示すことが法制執務担当の役割であるのでしょう。もちろん、その「森(行政分野)」は、担当課の職員の方が法制執務担当より馴染みがあるはずなので、示されたロードマップを元に一緒に方向性を探っていく訳なのですけれど。
 そういえば

立法の中枢 知られざる官庁 新内閣法制局

立法の中枢 知られざる官庁 新内閣法制局

で、官庁からの法案を審査する内閣法制局に比べて、議会法制局の仕事は、議員の意向を聴きながら規定を編んでいかなければいけない点で、しんどい部分がある、と記載がありましたが、それに状況が近いでしょうか。(もっとも、その緊張度は、比ではないでありましょうが。)
 いやまあ、「県で条例が変わったんだけど、うちじゃどうしたら良いのかなあ」という事例があるのは事実です。でも、この「変えなければいけない」というモチベーションに対し、じゃあ、どうしたら良いか、という法のロードマップの「見方」を示すことは法制執務担当の役割であるのかなー、と思います。
 私が後輩に言うのは、

「原課の人間が無茶なことを言っている」なんて、絶対に言うな。

ということ。
 (あ、りょんさんのコメントが「そう読める」ということではないので、誤解しないでくださいね(汗)。私の心がまえとしてですので。)
 少なくとも、

・担当課の職員は「法制執務担当は、つまらないリクツばかり言っている」
法制執務担当は「原課の職員は、法令のことを何も知らない」

という不幸な循環は避けたい(^^;
 そして、担当課における法務能力の向上が図られれば、この上ないことですし、政策法務としての事態に対処する知恵は、担当課にこそ有ると思います。
 山口道昭教授(立正大学)のご講義で「『政策法務』という言葉は非常に便利に使われしまうことが多いのであるが、自治体の政策法務の運営に当たって、法制執務担当課は何を行えば良いのでしょうか」と質問させていただいた際の

法制執務担当課としては、原課に対して「戦略法務(解釈上の冒険をする。違法の可能性あり。)」と「企画法務(解釈上の冒険をしない。違法の可能性なし。)」の限界の指摘ができれば良いのではないでしょうか。

とのお言葉が心に残っています。
 なお、「法制執務」と「政策法務」の隔絶を実務をもって埋めていくことが現在の法制執務担当の役割では無いかと思うのは、私が以前書いたとおりです。(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20050112#p2