自治体法務の備忘録

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毎日・地方自治大賞:奨励賞に日田市 「まちづくり権」評価される /大分

新時代の独創的な地域づくり活動や企画を展開している自治体を顕彰する「04年度毎日・地方自治大賞」(毎日新聞社主催)は審査の結果、日田市(大石昭忠市長)が応募した作品「『まちづくり権』で守り抜いた安心・安全のまちづくり」が奨励賞に選ばれた。別府競輪場外車券売り場「サテライト日田」計画を巡り、独自の「まちづくり権」を提唱した市民ぐるみの反対運動と成果が高く評価された。
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/oita/news/20050222ddlk44040536000c.html

 サテライト日田をめぐる分かりやすい経過の記載は「噂の東京マガジン山口良一のレポート(http://www.tbs.co.jp/uwasa/010107/genba.html)」で。(笑)
 http://joreimaster.leh.kagoshima-u.ac.jp/oita/hita/jogai.txtは、「法制執務」的には、ちょっと「アレ」な日田市の条例
 また、国の許可に対する取消訴訟の提起自体が、出訴期間(3か月)を経過してからのもの(理由が「自治体は、提訴において議会の議決を経る等の手続きが必要であり、法定に出訴期間に厳密に縛られるものではない」というようなもの)で、これも「法制執務」的には、ちょっと「アレ」です。
 でも、この場合、「法制執務」的に適正であるかはあまり意味がないのですよね。むしろ、訴訟の経過において組み立てられた理論であるところの「まちづくり権」についてこそ注目すべき。

日田市は、第4次総合計画においてまちづくりを理念として掲げています(中略)。また、日田市議会が全会一致で場外車券売場設置反対の決議を行っていること、さらに「日田市公営競技の場外券売場設置等による生活環境等の保全に関する条例」を制定していることをあげ、場外車券売場などが設置された場合に生じうる「周辺環境への配慮に努めようとしている」と述べて、最終的に「日田市の主張する地域環境にふさわしいまちづくりの権利・利益は、公益としての地域環境に責任を負う自治体の『まちづくり権』と評すべき法益であり、自転車競技法とその施行規則によって保護された利益として、原告適格を認めるに足りるものと考えられるものである」と主張しています。
大東文化大学の森稔樹助教授のサイト(http://kraft.cside3.jp/satellite57.htm)から

 「法制執務」と「政策法務」の距離について考えさせられる事例です(^^;