自治体法務の備忘録

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 判例地方自治No.260(平成17年3月号)に市町村アカデミーにおける松下啓一教授のご講義が掲載されていました。以下は、「まちづくり条例」の今後の課題の一つとして述べられた内容です。

多くの自治体では、首長の指示で自治基本条例や市民参加条例がつくられるわけですが、担当の人の話を聞くと、この条例づくりの意義を信じないで作っているケースもあるようです。こうした条例をつくらなければならない担当者も気の毒ですが、自治体の基本となる条例を首長のパフォーマンスでつくると、あとの反動が怖いと思っています。
 (中略)
 基本条例を作れといわれれば、皆さんならば1週間もあればつくれると思います。机上で整理してつくるのではなくて、こうした(多摩市のような−引用者注)市民参加を工夫し、一緒に考えていく必要があるだろうと思います。

 私も以前、同じような内容を書いたことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20050111#p2)、第一人者の先生のお言葉に、僭越ながら我が意を得た気がいたします。
 とはいえ、上記のような私の意見は、全国の法制執務担当者であれば、皆さん思われていらっしゃることと思いますので、自慢でも何でもない。
 しかしながら、上記の「まちづくり条例」の起草に当たって、その根幹となるべき上記の議論が、果たして十分に行われているのか。「『政策法務』の先端たる『自治基本条例』の起草に、旧来の『法制執務』論は口を挟むべきではない。」という風潮は、果たしてないか。
 地方分権の推進によって、「法制執務」が「政策法務」に単純にすりかわったわけではないし、ましてや「政策法務=新しいもの」「法制執務=古いもの」ではない。
 「法制執務」に携わる者は、その職務柄、保守的になる傾向があるものの、地方分権の中で「どこまで何ができるか」に頭を切り換えていくことによって、気後れせずに「政策法務」論に関わっていくべきではないか。
 と、偉そうなことを言っても、その方向性、具体的な手段については、私にとっても手探りであり、むしろ、日々の仕事の中で泥だらけになって格闘しながら自分に言い聞かせている内容であるわけです。