自治体法務の備忘録

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 さて、偉そうな話をした後は、ニッチなニッチな法制執務のお話しです。(をい)
 id:VieilleGardeさんのblogから

「原議は原稿通り」を第一にデータを作成しているので、よーく探していけば、各地には笑える原議がごまんと存在しているんだろうな。原議データとは、ある意味、恥のデータ化なのかもしれないね。
http://d.hatena.ne.jp/VieilleGarde/20050225#p1

 痛い、痛いなあ。
 宇治市議会で、条例案の誤りが原因で審議が中断したのは先日書きましたが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/)、続報が掲載されていました。

目玉議案の人事監新設に伴う条例案の記載ミス。第3条の条番号にダブル記載があり、事務上の点検ミスが原因。事務上のミスで、市長が本会議場で陳謝するに至ったことを重く受け止める職員も多い。
http://www.rakutai.co.jp/news/0226/001.html

 最近の私の経験だと、個人情報保護条例というものに携わり、なかなか死んだのですけれども、議会上程の印刷原稿をギリギリまでチェックして、2回目の音読で接続詞の誤りを見つけて悲鳴を上げました。なんとか直しましたが。
 罰則関係で検察協議をかけた期間もありますが、随分と時間と手間がかかりまして、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」をはじめ、全国の自治体の条例をぐるりとならべて、句読点の意味のひとつひとつまで解析し、夜中に大声で叫びたくなる(わおーん)状況の中で、なんとかがんばれたのは、担当課の「日本で一番の条例をつくる」という気概にほかありません。
 宇治市の個人情報保護条例は、この種の条例では里程標のひとつであったのですが、その宇治市であっても、それでもやっぱり、こういうことはある訳なのですよ。
 id:joho_triangleさんが、議会における議論の充実について述べられていらっしゃいますが、

議会のネット中継等の整備に絡んだことといえるかどうかワカリマセンが、【情トラ】が議会に対して、もっともっと期待するのは、その中継の内容、つまりは議会における質問/答弁の充実化です。これは、別にネット中継云々に関係なく、常に求められることだと言えるでしょう。
http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20050125/p4

議論以前に、正誤のレベルが政治の「道具」になってしまう現状がある。(id:joho_triangleさん、誤解しないでくださいね。揚げ足をとっている訳ではなく、私も基本的にはご主張に賛成です。)
 そして、こういう現状において、id:washitaさんにご指摘されながらも「法令文」というのは、限りなく保守的になるわけです。

さらに言えば、鳥取県方式の新旧対照表方式の改め文… なんか、新旧対照表の上に独特な改め文をくっつけるのって、中途半端じゃないでしょうか。相変わらず改め文(しかも本とかに載ってないやつ)を考えないといけないし。
http://d.hatena.ne.jp/washita/20050227#p1

 誠にもっておっしゃるとおり。問題は、新旧対照表形式の改正方法が十分に練られていない現状において市民権を得ていないことだと思います。マニュアルをつくっても、想定していない場合の対処は、事案ごとに検討していかなければいけない。それに対して、旧来の「改め文」は、少なくとも膨大な蓄積があるわけです。
 「改め文」から「新旧対照表」方式への転換は、条例本論の議論を深めるものとして当初は議会に賛同を得たとしても、「改正部分の下線の引き方が適正で無い」などと審議中断しては、市民に一番申し訳ありません。

いっそ「次のように改める」ってして改正後の全文をポンと出して、参考資料として新旧対照表をつけたらいいんじゃないですか。
http://d.hatena.ne.jp/washita/20050227#p1

 おおっと、それは思いつかなかったな。一見、アメリカ型「積上げ方式」のようで、資料としての新旧対照表の添付で「溶込み方式」と見てね、という手法かな。そうすると、施行日がずれる例規だと、施行日ごとに部数ができるな。でも、それも「割り切り」なのかな。
 なんか言い訳ばかりしていますが、ネットで法令・自治例規が検索できる現在において、改正内容の分かりやすい提示のための方向性を探ることには、私も賛成ではあります。