自治体法務の備忘録

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条例等の整備

 昨日の記事について、りょんさんにいただいたコメントは、誠にご指摘のとおりで。
 1年ほど前に、某自治体の法制執務担当と同様の話をしたことがあります。
 そこで先方が話されたのは、線引きをして整理をするのは確かに大変なことであるが、例えば、新規制定の際に「これは規則で決めるべきですか?要綱でよいですか?」「条例の中でどこまで決めるべきですか?どこまで規則に委任できますか?」と個別に相談されたときに、「まあ、こうなんじゃないでかね」というアドバイスはできる。であれば、やはり、それぞれの規定形式の守備範囲に基づく整備の認識が法制執務堪能においては既にあるわけで、それを政策的な判断でより明確に整理することは可能ですよね、とのことでした。
私「でも、新規の個別の相談ならともかく、今後の取扱いの明確な指針の作成、ましてや、既存のものの整備までとなると大変な作業ですよね」
先方「そうですよねえ」
 個人的に疑問なのは、条例による規定が適正と思われるところ、規則で制定されているものについて条例に「格上げ」することについて、それほど負担はないと思われる(事務的な作業量は別にして)が、本来であれば「法制執務的に」規則で十分と判断されるところ、既に条例として規定されているものの取扱いをどうするか。
 「政策的に」条例で規定することが必要だ、というのが妥当な解釈ですが、制定時にそこまで議論がなされたのか不明はものも多い。類似のものがない条例であれば、制定時の「政策的な判断」を想定し、そのままにしておくこともできましょうが、類似(同種)のものについて規則で制定しているものがある場合の対応をどうするか。
 類似(同種)の「規則」についても併せて「条例」とする、という「政策的な」判断をする手も考えられますが、整備方針に基づく整備を目的に「条例」の方を「規則」にしようとすることについて議会を説得することが可能か。
 まあ、「規則の方に寄せたい」と考えることが「役人の勝手な動機」にすぎないわけで。逆に言えば、「『条例』→『規則』」にすることについて、市民に十分に説明できる整備方針をもって臨めれば問題はないわけですけれども。