自治体法務の備忘録

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奈良県条例案:気安く子どもに声掛けられぬ…「両刃の剣」懸念も

住民らの見守り活動にも限界があるだけに、地元では歓迎する声が上がる一方、顔見知り以外の大人が子どもに声を掛ける行為なども処罰の対象となる可能性が出てきた。「自由の拘束にならないか」と懸念する専門家もおり、今後論議を呼びそうだ。
http://www.mainichi-msn.co.jp/kansai/news/20050428ddf007040020000c.html

子どもを惑わす行為、販売目的外の子どもポルノの所持・保管禁止も初。条例案は6月県議会へ提案、今秋施行を目指す。
(中略)
▽澤登俊雄・国学院大名誉教授(刑事法)の話 子どもを守るための法的規制は必要だが、抽象的に声を掛ける行為や子どもポルノ所持を禁じてしまえば、自由を極端に束縛することになりかねない。刑罰を用いるなら、犯罪の構成要件を相当具体的に示す必要があり、技術的な難しさがある。不必要に行為を抑制しないような規定の工夫ができるかに成否がかかる。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20050428k0000e010069000c.html

18歳未満の児童を使ったポルノの製造・販売目的所持を禁止する児童買春・ポルノ禁止法と異なるため、条例案では規制対象を「子どもポルノ」と定義。「正当な理由なく所持、保管してはならない」とする。
http://c11om4bv.securesites.net/newspack/modules/news/article.php?storyid=218149011

 販売目的外の子どもポルノの所持・保管禁止に係る児童ポルノ法との棲み分けについては、最下段の記事のとおりのようですが、本条例の「目的」が「子どもを犯罪の被害から守る」ことであれば、「心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的」とする同法と法益が異なることになるわけですね。
 ただ、娘を持つ親として、本条例の趣旨はわかるものの、所持・保管の禁止が「子どもを犯罪の被害から守る」に結びつく法的構成に首をひねるところはあります。
 余談ですが、児童ポルノ法の目的は上記のとおりですので、イラストやアニメーションの女の子は対象外とされているわけで(存在しない人間の権利は保護ができない。)。