自治体法務の備忘録

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法律・条例の横書き化

 id:joho_triangleさんの掲載の記事から

 しかし、法律の形式が「左横書き」になることって、近い将来あるのでしょーかねぇ?
http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20050503

 無いと思います(^^;
 そのこだわりに意味があるものか否かはともかく、なぜしないのか、という疑問については、先日、同僚が「憲法が縦書きだからじゃないですかね」と指摘していました。確かに、法律は、自治体の例にならって「縦書きを横書きに改める法律」を制定するにしても(その困難さは後ほど記載しますが)、憲法を改正するには大変なことになりますから。
 また、カタカナ文の法律を、言葉使いをそのままに横書きに改めるだけというのも現実的ではないでしょう。

  • ○○県条例の形式の左横書きの実施に関する条例
  • △△県条例の形式を左横書きに改正する条例
  • □□県条例の左横書きの実施等に関する条例

といった条例が、47都道府県のうち半分程度にあって、その際にイロイロな表記関係については改正済みなのではないかと。

 過渡期の証言として、誰かが明記しておかなければいけないと思うので、以下のとおり確認として記載しますが、上記の条例は、法制執務的に適当なものでは無いと指摘されています。
 理由としては、上記のような条例の内容は

  1. 現在まで公布された条例の形式を縦書きから横書きに改める。
  2. それに際して、法令文の縦書きの記載方法を横書きのそれに改める(例 号の表示「一、二、三〜」→「(1)、(2)、(3)〜」)とともに、法令文を改める(例 「別表の上覧に掲げる〜下欄に」→「別表の左覧に掲げる〜右欄に」)。

というものでありますが、この方法について、以下のような問題点があることとされています。

①改正対象となる条例及びその箇所が指定されていない。

 改め文形式では、改正の箇所を厳密に指摘することが本来であり、改正箇所を指定しないことにより、読む人間に改正箇所を探させるような改正の方法は望ましくない。

②改正の対象は過去に公布されたすべての条例が対象となる。

 上記の改正の方法だと、現在例規集に記載されている条例のみならず、過去に公布されたすべての条例(一部改正条例はもちろん、廃止条例を含めて)が横書き化されることになる。
 では、例規集記載の条例に限定することができるか、というと、それは不可能である。「当初に制定された条例」と「その一部を改正する条例」は主従の関係にあるものではなく、法的には同格の存在であり、後者は前者を物理的に変化させたものではない。つまり、例規集に掲載された「改正後の条例」は、「概念として」変化させられた「当初に制定された条例」を読みやすいように掲載させているにすぎない。
 さて、上記により、過去の条例のすべてを改めることとなった場合、その影響は大きく、適正に溶け込むかという技術的な問題から、過去の条例(廃止になったものを含め)を根拠に処分された事例の適切な対処が可能かという対外的な問題が生じうる。
 もうお察しのとおり、上記の指摘に対して「でも、それって、マニアックなこだわりでしかないのでないの?」という疑問が発せられます。
 まあ、そうなんでしょうね(^^;
 なお、私は法令は縦書きで読み慣れてしまっているので、データベースから条文をダウンロードしても、わざわざ縦書きに印刷し直して読むことが多いです(笑)
 余談ですが、私の以前の上司(うちの自治体でいちばん法制執務に詳しい方)は、新旧対照表より改め文の方が改正箇所がわかりやすいと豪語されていました。私はまだその域まで達していません(笑)