政策法務としての国法改革の可能性と解釈の限界
id:hirosh1さんにトラックバックいただきました。
2年ほど前の経験では国、自治体ともに自治事務のあり方について理解が固まっていなかったように思います。
http://d.hatena.ne.jp/hirosh1/20050511/1115838301
例えば、国交省は、いまだに条例の制定権の「法令」の範囲を協議にとらえているようです。*1
このような事態は、機関委任事務において自治体の解釈権が制限されていた悪しき名残だと上記図書で北村教授は指摘されています。
省令と条例の関係については、政府の地方制度調査会で「機関委任事務の廃止により、通達で地方を縛ることができなくなったように、省令による規制も同様にできないか」という議論がされたということは、以前掲載いたしました(http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/news/5031601004748.html)が、法律や政令と条例の関係についてどこまで議論がされたかは不明です。
では、このことについて政策法務に何ができるのか。
自治体は、地域の必要にもとづいた政策を企画・立案し、実施しているが、その場合に国法の規定が妨げになるとこもある。例をあげれば、住民投票結果の法的拘束力、行政委員会の法定主義などである。
自治体は、自治体政策の妨げになっている国法規定を放置することなく、その問題点や改廃の必要・方向について、自治体現場から指摘・提起して、地方・全国の長の連合組織などを通じて改正の働きかけをする必要もあろう。
上記は、
これだけは知っておきたい自治立法の基礎 (政策・法務基礎シリーズ)
- 作者: 加藤良重,東京都市町村職員研修所
- 出版社/メーカー: 公人の友社
- 発売日: 2004/05
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
法の改革の指摘・提起をも視野に自治体が「自治解釈・運用法務」を行っていくことは、本来的には否定されるべきではないでしょう。
では、上記の「自治解釈・運用法務」の範囲の限界を自治体の法務担当がどのように探っていくのか、というのが今の私たちの課題であるところです。
とはいえ、個人的には「そうは言っても、こちとら痴呆自治体の法無担当なんだから!!」と逆切れしたくなる局面があるのは内緒だ。
*1:「分権改革と条例(ISBN:4335312059)」の記述及び担当課の職員の話による。
*2:タイトルは入門書のようで、100ページ足らずの小冊子なのですが、けっこう刺激的な内容が記載されています。