自治体法務の備忘録

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病院新設中止の行政指導、最高裁「訴訟の対象」

 id:okaguchikさんの「ボツネタ」掲載の記事から

最高裁第二小法廷(今井功裁判長)は「勧告のような強制力のない行政指導でも、不利益に直結する場合は裁判で争える」という初めての判断を示し、訴えを門前払いした一、二審判決を破棄。審理を一審・富山地裁に差し戻した。
http://www.asahi.com/national/update/0715/TKY200507150227.html

 当市役所にかぎらず、公務員の方と話していて感じるのは、法の「形式」に従えばその行為は正当化されるという認識を持っていることが多いのではないか、ということです。
 公務員の仕事の内容は、基本的に法律で縛られているものなので、「決められたとおり執行している」点で思考が停止しやすい(地方公務員に関してだけなのかな?)。この点、行政事件訴訟法の改正に際して、行政訴訟の対象となる可否を論じた際にあちこちで随分と議論しました。
相手「だって、法律に『裁判できます』って書いてなきゃ裁判起こせないんじゃないのか?」
私「それは発想が逆でしょう。『法律があるから裁判がある』のではなくて『裁判があるから法律がある』と考えないと。」
 裁判においては、個別の行為の違法性の判断は、形式論ではなく「ぶっちゃけどうよ」が論点になることを肝に銘ずるべきです。ましてや、行政事件訴訟法の改正による原告適格の拡大が明文化された今後においては、「個別の行為」に関する適法違法の可否を認識できる「判断力」が職員に求められます。
 最高裁の判決文はhttp://courtdomino2.courts.go.jp/judge.nsf/%24DefaultView/A5498DB9E2B5D8EA4925703F00108BCE?OpenDocument

このような医療法30条の7の規定に基づく病院開設中止の勧告の保険医療機関の指定に及ぼす効果及び病院経営における保険医療機関の指定の持つ意義を併せ考えると,この勧告は,行政事件訴訟法3条2項にいう「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たると解するのが相当である。

 この部分ですね。