自治体法務の備忘録

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 障害者自立支援法第15条の規定により市町村に置かれる「市町村審査会」について、同法の施行前から準備を行わせることができないか、と担当課から照会いただきました。

障害者自立支援法障害者自立支援法の事前準備
(市町村審査会)
第十五条 第二十六条第二項に規定する審査判定業務を行わせるため、市町村に第十九条第一項に規定する介護給付費等の支給に関する審査会(以下「市町村審査会」という。)を置く。

 担当の意図としては、介護保険導入時の「介護認定審査会」の取扱いが念頭にあったようです。
 当時は、介護認定審査会に係る準備行為について条例の準則が国から示されていました。

【○○○市(町村)介護認定審査会の委員の定数等を定める条例】
(介護認定審査会の委員の定数)
第1条 ○○○市(町村)介護認定審査会(以下「認定審査会」という。)の委員の定数は、○○人とする。
(規則への委任)
第2条 法令及びこの条例に定めるもののほか、認定審査会に関し必要な事項は、規則で定める。
介護保険の実施のために必要な準備)
第3条 認定審査会は、この条例の施行の日前においても、介護保険の実施のために必要な審査及び判定の業務を行うことができる。
   附 則
 この条例は、平成12年4月1日から施行する。ただし、第3条の規定は、公布の日から施行する。

 附則に規定する第3条の施行日が「公布の日」であるにもかかわらず、当該第3条に「この条例の施行の日前においても」とあるのが無茶で、それ以前に、「事前準備」が本則にあるのはいかがか、とか、いろいろ頭をひねるところではありますが、それはさておき。
 そもそも、介護保険に係る準備行為は、介護保険法施行法でケアされていました。

介護保険法施行法】
第十七条 前三条に規定するもののほか、介護保険法及びこの法律を施行するために必要な条例の制定又は改正、介護保険法第二十七条又は同法第三十二条の規定による要介護認定又は要支援認定の手続、同法第七十条の規定による同法第四十一条第一項 本文の指定の手続、同法第七十九条 の規定による同法第四十六条第一項の指定の手続、同法第八十六条の規定による同法第四十八条第一項第一号の指定の手続、同法第九十四条の規定による開設の許可の手続、同法第百七条の規定による同法第四十八条第一項第三号の指定の手続、同法第百十七条の規定による市町村介護保険事業計画の策定の準備、同法第百十八条の規定による都道府県介護保険事業支援計画の策定の準備、同法第百八十条の規定による介護給付費審査委員会の委員の委嘱の手続その他の行為は、施行日前においても行うことができる。

 このたびの障害者自立支援法については「施行法」なんてないしなあ、と思いながらも、念のため附則を見ていったところ、あった、ありました。

障害者自立支援法
   附 則
(施行前の準備)
第二十四条 この法律(附則第一条各号に掲げる規定については、当該各規定。以下この条及び附則第百二十一条において同じ。)を施行するために必要な条例の制定又は改正、第十九条から第二十二条までの規定による支給決定の手続、第三十六条(第四十条において準用する場合を含む。)及び第三十八条の規定による第二十九条第一項の指定の手続、第五十九条の規定による第五十四条第二項の指定の手続、第七十九条第二項の届出、第八十八条の規定による市町村障害福祉計画の策定の準備、第八十九条の規定による都道府県障害福祉計画の策定の準備その他の行為は、この法律の施行前においても行うことができる。

 したがって、障害者自立支援法の運用についても、円滑な制度導入のために市町村の意向によって事前準備を設定することはできそうです。
 知らなかったの俺だけかなあ、と思って、親しいよその自治体の法務担当に聞いてみました。「担当課になんか動きありますか?」

 聞いてみたら、うちの自治体の担当に動きはないようです。
 それどころか「総務担当者が心配してくれるなんて○○市はいいなあ」と言われてしまいました。

 いえいえ、私が心配しているのではなくて、担当課の優秀な方に突き動かされているだけです(^^;
 とはいえ、法の公布が11月7日で、政令が今日現在で未公布では、動きもとれないのが現状です(ToT)