自治体法務の備忘録

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条文を書くことが目的ではない

 branchさんがご掲載の記事から

あと、規定ぶりに紛れがあるとかいうのはともかく、改正の趣旨や改正によって実際の事務がどう変わるかについて質問しても即答できないというのはダメダメ。まず事務をどうしたいのかという考え方があって、それを紙に落とし込んだ(一定のルールに従って文章で表現した)ものが条文、のはずなんだけど、どうも逆になってしまっているんじゃないの、と思われる例もあり。http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary.shtml#1122

 私が担当課や同僚によく言うのが

 やりたいことが決まっていれば、それを日本語にすることは絶対にできる。

 逆に言えば、日本語にできないのは、やりたいことが決まっていないからだ、ということになります。*1
 先日も条文の書き方について同僚から相談を受け、規定振りの「穴」をいくつか指摘し、「制度設計できてない。担当課と相談。やりなおーし。」とダメを出しました。*2
 よその自治体の方とも話していても思うのが、まず、例規の改正を極力避けて対応策で対処しようとするところ、当該対処が不能と判断して例規を改正しようとすると「改正が目的」になってしまって具体的な運用に気が回らず、改正後に「この規定はどのように解釈したら良いでしょうか」と法務を頼る、というサイクルがあるのではないか、ということ。全部逆だよヽ(`Д´)ノ
 思うに、上記のサイクルは、機関委任事務における実務対処として地方公務員に染み付いたものなのではないか(個人に、というより、立場に、として)

よく聞かれる説明として「近隣市町村の同種例規の規定ぶりを参考にしました。」というのがあるけど、なぜそうするのかについても説明できなければ、何も考えないでコピペしますた、と言っているに過ぎないわけで。

 法というのは社会のコンセンサスでしょうから、既に事例があり、世に受け入れられていることは、大きな後ろ盾になります。しかし、理解の上、運用できないのでは意味が無い(^^;
 路上喫煙禁止、資源ゴミ持ち去り、ピンクビラはがし、公表規定等の事例をあげて、立法に際して規定することの意味やその効果について十分に検討するべきとして、私が折に触れて掲載するのは上記によります。

リアル業務の中でkei-zu氏の名前を見ることになるとは(笑)。

 あらま、とんだところでどうも。でも、記事の引用先として掲載される程度でヨカッタ(何が)

*1:法制執務の技術力不足の問題はおいといてw条文が編めないのは、自らの技術力不足なのか、それもと制度的な欠陥なのかを判断できることも法制執務担当の大事な技量の一つですw

*2:その後、同僚と担当課で打ち合わせの上、緻密に制度設計いただきました