自治体法務の備忘録

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直すとか直さないとか

 洋々亭さんのところの掲示板で、法令の一部改正と用語の表記について書いたので(http://www.hi-ho.ne.jp/cgi-bin/user/tomita/yybbs.cgi?subno=710)、関連して思いついたことを。
 過去の関連記事→http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20051115#p1http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20051117#p2
 以前、条項の実質的な改正の伴い、同条項の字句の整理として「各号の一」を「各号のいずれか」に改めたところ、担当課の管理職に聞かれました。
相手「『各号の一に』と『各号のいずれかに』の法的な意味の違いってあるの?」
私「ないです。」
相手「こういう法令における『言い回し』の変化、というのか、そのよりどころ、基準って何なの?」
私「そうですね。しいて言えばトレンドかと
 「トレンドかよ」と失笑を買ってしまいましたが、でも他に言いようが。
 上記の言い換えは、法文の平易化の代表的な例ですが、罰則規定において例外的に用いられていた用法にも「トレンド」は侵食します。

罰則規定で刑罰を科せられるべき行為を掲げる場合には、「次の各号の一に…」という表現を用いるのが通例であったが、最近は「次の各号のいずれかに…」という表現に統一されつつある。(「次の各号の一に…」と「次の各号のいずれかに…」は同義である。)
自治立法実務のための法制執務詳解<四訂版>」石毛正純 著(ぎょうせい)575ページ

 なお、上記の記載は、平成12年4月発行の同書三訂版には記載ありません。(四訂版の発行は平成16年6月)やっぱりトレンドとしてしか。
相手「隣の条にある『各号の一に』は直さない、んだよねえ。実質的な改正がないから」
私「ええ。」
相手「こうやって、部分部分で改めていって直しきらないうちに、新しいトレンドを追っかけることになるんじゃないかね」
 だって、それが法制執務の本懐ですから(違う)