自治体法務の備忘録

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附款なのか契約なのか

 全国の自治体でご対処されているところの指定管理者と取り交わす協定の性格について、以前にbottomさんがご掲載されていらっしゃた(http://bottom.at.webry.info/200509/article_13.html)ように、私も附款的な性格が強いのかな、と思っていたのですが、自治体サイトにおける印紙の取扱いなどから見て、最近の流れは、契約としての取扱いをされる自治体が多いようです。
 附款と契約の線引きとして、加除式図書「政策法務の理論と実践」(第一法規)には次のように記載されています。*1

 指定管理者との間で定めておくべき事項のうち、例えば、関係法令の遵守を求めること及び指定の取消しに係る事項を定めることは、施設の設置目的を達成させるためには欠かせない要件ですので、協議によって変更される余地のない事項であるといえます。また、事業計画書及び収支予算書に基づいた管理を行うことを義務づけることも、これらの図書に記載された事項が指定管理者の指定の採否を判断する基になった内容ですので、協議によって変更される余地のない事項であるといえます。よって、これらは、指定処分の附款として定めることが適当です。一方、管理に要する費用の額や管理運営の方法の詳細など、自治体と指定管理者との間の協議により決定される事項については、協定で定めることが適当です。
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 協定を締結こととした場合、協定で定められる事項は、指定処分に関係する事項ですが、指定処分と切り離して協議がなされ、法的な権利義務関係が成立したものと考えられます。よって、その部分に関しては、契約が成立したものと考えられます。
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 なるほど、「附款」と「『契約』としての協定」の線引きを明確にすれば、教育委員会が管理する施設に係る取り扱いも整理できそうです。現状巷間に流布している協定書案は、その線引きが曖昧であるから、締結者を首長とするか教育委員会とするかで首をひねってしまうのですものね。
 とはいえ、上記の内容は、bottomさんも「二段階論」として論じていらっしゃいますが、実務上の取扱いもなかなか難しいところであります。前述のとおり、巷間に流布している協定書案が線引きが曖昧であることと、そもそも、選定過程において選ぶ側にも選ばれる側にも「協議によって変更される余地」の是非の判断が曖昧であったことはないのか。
 いずれにせよ、ほとんどの自治体について、次回以降の宿題となるでしょう。

*1:執筆者一覧では判別できないのですが、岡田博史氏のご執筆でしょうか