自治体法務の備忘録

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撤退

 昨日の掲載の記事(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20060223/p7)でご紹介した記事中の武藤博己教授(法政大学)のご発言

再公募が多発している原因の一つは、公共施設の管理に関する経験やノウハウが民間に蓄積されていない状況の下で、民間への移管を強制している制度の拙速性があるのではないか。自治体側も移管の準備が不十分で、募集要項や仕様書があいまいなだけでなく、内容的にも不十分な場合が多い
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060223/mng_____tokuho__000.shtml

について、当市の指定管理者担当の美女(ファンの方、おまたせ!)がため息をついていました。ため息をつく女性というのは遠くから見る分には良いものですが(えー
 指定管理者制度の運用については、自治体と指定された団体との役割分担と責任の負担、そして構築される信頼関係に基づくものであると思うところ、不幸な事例も存在します。

【営業10カ月で・・・合理化で「サービス低下」】
 野迫川村指定管理者制度を導入した「野迫川温泉ホテルハイ・タトラ」(同村北今西)の委託先の会社が1月、3年契約を途中で打ち切り、営業開始10カ月で撤退していたことがわかった。
(略)
 2月1日から運営を引き継いだ村観光開発公社は「ホテルのせ川」と改称。支配人や料理長ら4人を新規採用し、残った従業員2人とともに再出発した。
http://mytown.asahi.com/nara/news.php?k_id=30000000602220001

 こちらが村の広報→http://www.vill.nosegawa.nara.jp/kouhou/h1802/pic03.jpg

初心に返って新たな気持ちで、よりいっそう皆様のご期待に添うよう、従業員一同全力を挙げてホテル業に努める所存でございます。

 ひとごとながら、凄い胸が痛みます(;_;)
 上記の記事における指定管理者の言いぶり

 撤退の理由について、大新東の川島隆明会長は「『空海』の芝居を上演するなど高野山の参拝客を誘致する企画づくり、清掃や建物管理のやり方などの改善が進み、当社の役割は終わった。後は地元に任せた方がよいと考えた」と話す。

 「役割は終わった」って

 だが村によると、なじみ客が薬膳料理を敬遠し、年間5千人余りだった宿泊客が半分以下に落ち込んだ。入り口の閉鎖で、レストランや温泉を利用する日帰り客も減ったという。

 お客減らしているじゃないですか… 薬膳料理って、そんなにまずかったんですかね、とは当市の指定管理者担当のご意見
 なお、同施設のサイトは閉鎖されていますが(http://meisento.com/)、同社のサイトにはまだ実績として掲載されていました(http://www.shiteikanrisha.com/kanri/index.html#haitatora)。
 さて、撤退に当たって自治体に与えた影響はお客の減少に止まりません。以下は、全国市民オンブズマン連絡会議・名古屋市オンブズマンの事務局員でいらっしゃる内田隆氏がご掲載の記事

先ほど奈良県野迫川村 地域振興課の増谷様に電話をしたところ、「受託者の大新東(株)に赤字が出、今後黒字の見込みがないので、
 撤退させてほしいと村に申し出があり、了承した」とのことでした。
(略)
前述の増谷様に聞いたところ、指定管理者との契約書に違約金条項を設けておらず、撤退の際違約金を業者は払わなかったとのことです。
http://ombuds.exblog.jp/2703858/

 …('A`)  氏は続けて以下のようにご指摘されていらっしゃいます。

違約金条項を入れておらず、赤字なら企業が自由に撤退できるとなると、サービスがちゃんと続行されるか非常に不安です。
今後の契約書チェックのポイントだと思います。

 bottomさん(http://bottom.at.webry.info/)、協定書における違約金の規定まだぁ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン(嘘よ気にしないで)

 こういう失敗も、もっともっと皆さんで共有して、指定管理者制度の運用がうまくできるようになっていければよいと思います。
http://shitei.seesaa.net/article/13647459.html

というblog「指定管理者制度って、どうなの?(http://shitei.seesaa.net/)」の管理人さんのお言葉にうなづくばかりです。