自治体法務の備忘録

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印鑑の取扱い

インクは今は滲まないなら問題ないでしょうし、押し方によって印影が変わるのはどんなハンコでも同じように思えます。
これは今となってはシャチハタの問題ではなく慣習の問題ではないしょうか。
「シャチハタでもいいよ。」ってことにするだけで。それ以外にも何か問題あるんでしょうか。
http://d.hatena.ne.jp/washita/20060504

 事例の内容によって、どこまで「厳密性」を求めるかでしょうね。いわゆる「実印」である印鑑の登録において印のフチが欠けているものが受け付けられないのは「押し方によって印影が変わる」からです。逆に言えば「印影が変わる」印鑑は登録できないことになります。
 しかしながら、当然のことながら、実印の厳密性がすべからく求められるべきでもなく、まあ、ご指摘のとおり、事例ごとの濃淡が検討されても良いのでしょうね。
 つきつめると、じゃあ、そもそも押印がいるんかい、という問題になりますが、そもそも、押印は慣例的に以下の機能を期待されているものであると考えられます。

  1. 権利義務関係を確認し、事後の紛争を避ける機能
  2. 印鑑を持っている人が本人だろうという身分証の機能
  3. 本人が強制されたのではなく、自ら文書の記載内容を理解し、同意していることを推定する機能

 事例ごとの検討は可能でしょう。
 なお、ちょっと脱線しますが、記名押印と署名は、以下の法律にもあるように基本的には相互に代替性をもっているので、上記の「機能」の判断と併せて「署名」をもって、「押印」という「形式」にとらわれない運用も期待されるところであると思います。

民事訴訟法】
(文書の成立)
第228条 (略)
2〜3 (略)
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 (略)
(筆跡等の対照による証明)
第229条 文書の成立の真否は、筆跡又は印影の対照によっても、証明することができる。

商法中署名スヘキ場合ニ関スル法律】※会社法の制定に伴い、本法律は廃止されています。
 商法中署名スヘキ場合ニ於テハ記名捺印ヲ以テ署名ニ代フルコトヲ得