自治体法務の備忘録

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指導と「議論のできる職場」

 新年度も1か月以上が経過して、どの自治体も直近の議会の準備にお忙しい頃であると思います。一方で、4月に法務担当に赴任されたばかりの方もそろそろ実務に慣れていらした頃ではないでしょうか。
 法制執務の現場はOJTによるところが多いのは以前に掲載したことがありますが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20060416/p1)、全国市長会発行の「市政」に非常に良い記事がありました。

 係長など先輩職員は後輩への指導役を担う。最初は、「本を読め、条文を読め、読み込め」という。次いで、「恥ずかしがらずに意見を言え」と促す。素人職員でも、ある意味で市民の意見そのものとして、よい質問、ふと気づかされる質問を出せる。条文の分かりづらさが見える。
 そして、「打合わせのときには立場は同じ」「思ったことを言う」「喧嘩になっても引きずらない」「根に持たない」「職制は関係ない」として、活発な会議を行うように仕向ける。互いに疑問を持ったまま終わらせない。なぜなら、何かがあったときに説明できないからである。法務職員には、このような意識になってもらうことが大事である。人にもよるが、意識改造をするように努める。何も発言がないときには、一声かけて意見を言わせる。向き不向きはすぐには判らないが、配属される職員も気後れしてしまうことはないようであり、このような指導方針で「大丈夫だと思ってやっている」そうである。自治体では議論する職場は多くはないが、法務係は「議論のできる職場」である。この素地をなくさないように努めている。法務係の伝統として培ってきている。
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基礎自治体の将来像 上越市役所総務部総務課法務室における法務管理を事例として」金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科助教授)

 まったくのところ、夜中に怒鳴りあうようにして打ち合わせするところから理解が産まれていくのは事実です。そしてそのような仕事ぶりを許してくださる周囲の環境に感謝。