自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

戦略と戦術

でも、こんなことじゃあ、ほんとうの戦争には、勝てないよなあ。
http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20060526/p1

「敵船多数!海が3分に船が7分!!」
 目前の困難に、頭に浮かんだのが

激動の昭和史 沖縄決戦 [VHS]

激動の昭和史 沖縄決戦 [VHS]

からの台詞です。劇中では、ご存じのとおり日本軍は玉砕して果てるのですが、引用に他意はありません。(こら

岩橋助教授(東京大学)は、自治政策法務における最高位の知的活動領域を「戦略法務」と呼ばれています(参照「日本都市センター『分権型社会における自治体法務』」)。そして、戦略(strategy)は、元来、将軍の術(strategos)でした。
http://propos.s27.xrea.com/20060525.html

 「戦略」と似て異なる言葉に「戦術」があります。太平洋戦争時の日本軍は、「戦術」面において優れていると指摘できる点はあれど、「戦略」が描けていなかったのが敗因であると指摘されるところです。この点について、ベストセラーにもなった

あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書)

あの戦争は何だったのか: 大人のための歴史教科書 (新潮新書)

では、「開戦時に、そもそも戦争が終わった後のプランが描けていたのか」と指摘されていました。結局、場当たり的に「戦術」で対処し、一時は戦果をあげても、総合的な「戦略」としての目標が定まっていないので、ずるずると負け戦。ここらへん、論を発展させて、現代の日本における組織論を一席ぶつ手段もあろうとは思いますが、私には十分な知識がないのでパス。
 さて、おそらくは、全国の法務担当者にとって、「『地方分権』のご時世、『政策法務』なんだからなんとかしろ」と言われる局面はあるのでは無いかと思うのですが、たとえ当座の理屈をこねたとしても、それが「戦略」性に基づくものでない限り、結局のところ、場当たり的な対処にしかすぎません。「政策法務」の名の下に、「いいわけ」としての解釈を期待するのみであれば、それは「白いものを黒って言い切る技術」にしかすぎないわけです。
 その意味で、六角さんが上記に続けて記述される

私は、自治政策法務論とは、結局、如何にして首長の立場にたって法規範を駆使できるようになるかについての知的枠組みに他ならない、と思います。

は、なるほど、と思います。