自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

議会と政策条例

【政策条例:可決数が地方議会で急増 分権法追い風に】
 議員提案による政策条例の可決数が、都道府県、市町村(東京23区含む)レベルでともに急増していることが、毎日新聞の全国調査で分かった。総務省行政課は「地方議会の活性化を示す重要な指標となるデータ」と話している。都道府県では99年に島根で1件可決されただけだった政策条例が、05年には15道府県で計23件可決された。提案数も都道府県で99年の5件から05年は28件に増え、議員自らが政策実現のため、条例をつくる動きが活発化している。
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060703k0000m010130000c.html

【政策条例:変革の波「議員が変われば、まちが変わる」】
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20060703k0000m010131000c.html

 当然のことながら「制定すれば良い」というものではなく、何を目的として何を規定しているかが大事なわけで。結局のところ、条例の制定は政策運営の手段にすぎません。そして、以前にご紹介したように、議員提案の条例の内容が法規的に妥当であるのか、また、執行部における実際の運用をも念頭に置いたものなのかは、疑問があるものが多いのも事実です。
 しかしながら、逆に言えば、議会にとって、条例の制定は執行部の政策運営を方向付ける指針となりうるわけです。条例の制定が法定されていないものを、あえて制定する試みは、まさしく、議会が執行部の運営に対して具体的な方向性を示していると言って良い。まあ、そのための議会における立法の権能であるわけですが。
 さて、最近、多くの自治体で、議員による働きかけを排除するための法政策が試みられていることはご存じのとおりですが、特定の対象に便宜を図る働きかけは行政の公平性において許されないことは当然であることとしても、潜在的な行政需要の掘り起こしの一助であったことは否定できない。実際、自治体における自治立法が事実上認められていなかった分権前は、一部に言われる「『口利き』こそ議員の仕事」という側面もあったのでしょう。
 議員の働きかけを積極的に排除することは、行政の透明な運営を担保するために必要であるとした場合、働きかけというベクトルを失った「政策運営を方向付ける指針」は、議員による政策立案というベクトルを模索するのではないか。そう考えると、過渡的と言える現状が非常に興味深く観察できます。*1

*1:もちろん、先駆的な議会の取り組みを、働きかけの排除によるものだと言うつもりはありません。ここで言いたかったのは、分権以降に、議会と執行部が、それぞれの権能と責任を確認している過程にあるのではないか、という問いかけです。為念