上記の書籍では、最近自治体で試みられている新旧対照表方式の改正方式について、2ページではありますが1つの章を設けて解説がありました。時代の趨勢かなあ。
この新旧対照表化には、もちろんメリットとデメリットがある。一覧性が高くてわかりやすいというのがその良いところである。その反面、改正対象でない字句も拾うので、全体の分量が増えてしまう。その一部改正法の内容にもよるが、私の大ざっぱな実感ではおそらく三倍くらいになるかと思う。*1
(略)
次に問題になるのは、「改め、加え、削り」や「条項の移動」をどう表現するかという技術的課題である。前者については新旧対照表の上下に相当する部分に、例えば実線の傍線を引き、後者についてはそれと混同されては困るので波線の傍線でも引くということにすれば、一応は解決できる。そして、これら傍線のみ改正の効力が及ぶとでも規定すれば、よさそうである。
(401ページ)
元法制局担当からの指摘として興味深い。
一方で、自治体の立場として出石稔氏(横須賀市)のご指摘。
新旧対照表方式は、まだ運用されて間もなく、実績も十分とはいえないことから、試行錯誤の段階といっていい。各自治体の取組みを見ても厚いマニュアルや事例集を作成するなど、標準化を目指している途上であろう。この点、実務担当にとってはむしろ難解な改正作業を強いられる結果になる可能性もある。また、溶け込み方式と比べると、圧倒的に文書量が増大してしまうという難点も抱えている。
「月刊ガバナンス」06年8月号(120ページ)
上記「ガバナンス」の記事では、新旧対照表方式を導入している自治体のそれぞれの事例について掲載されていますが、拝見するところ、うーん、やっぱりどうにも現状においては「実務担当にとってはむしろ難解な改正作業を強いられる結果になる」ような気がしないでもないです。