行政関係事件専門弁護士ネットワーク
いささか旧聞に属しますが、行政関係事件専門弁護士ネットワーク(http://www.gyouben.net/index.html)が立ち上げられたことについて
さてさて、歓迎すべきなのか恐れるべきなのか。
http://bottom.at.webry.info/200609/article_23.html
とbottomさんはご指摘されていらっしゃいます。
【代表者挨拶】阿部泰隆
行政関連訴訟(行政訴訟、国家賠償訴訟、さらには行政相手の民事訴訟も)はまるで、ネズミがライオンに挑んでいるような有様であって、国民、企業側は、本来正しくても、勝つのは至難である。その理由は種々ある。たとえば、次のようなものが想定される。
- 行政側が、実質的立法者として、勝ちやすいように法令を仕組んでいる。
- 行政裁量を広く認める法システムとなっている。
- 行政側が、負ける戦をしないように、合理的に事件を選択している。
- 行政側は、関係資料と専門知識を独占している。証拠をなかなか提出しない。
- 行政側の弁護士は多数の行政関連事件をこなしてきたので、プロである。国民側の弁護士にはプロは少ない。
- 裁判官のなかには、民刑事法が専門のため、行政法に自信がなく、行政側の屁理屈に騙されたり、行政を勝たせれば間違いがないだろうとの思いこみに囚われている者がいないではない。
- 行政側は、その方針に反する訴訟を断固撃退するため、無限の資源(組織と人員、金)を投入する。国民側が一つの訴訟に投入できる資源には限度がありすぎる。
まあ、法務能力も限られた田舎の自治体にとって阿部先生の面はゆいご指摘にはにわかに首肯し難い部分はありますが、外堀から埋められることにより行政の内部改革が進められるであろう側面は否定できないと思います。
民間から転職して役所の事業担当課にいたときに不思議だったのが、担当事業に関する判例や法改正の動向があまり流れてこないことでした。前職では、自分の会社ではないにせよ業界に関する判決が出ようものなら、朝のうちに記事のコピーが飛び回ったものです。
もちろんこれは職員が怠けている訳ではなくて、中央官庁からの通達頼みであった機関委任事務時代に自治体に染みついた側面であろうことは否定できません。勘ぐれば中央官庁に「依らしむべし知らしむるべからず」の心得があったのかもしれない。
現在、私が見聞きした内容を積極的に担当課の皆さんに提供させて頂いているのは上記によるところですが、担当課の優秀な方々に専門知識に基づいたご指摘やご意見をいただき、私自身も勉強させて頂いているところです。
話しを戻せば、民間がかくもデリケートであるのは、訴訟対策によるものが大きいわけであり、自治体においてもその法運営の変化に外圧がかかわることは時代の必然なのかもしれません。