自治体法務の備忘録

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続・処理基準の法的拘束力

 昨日掲載した記事(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20061011/p1)に関連して、Reinigenさんと情トラさんがご掲載されていらっしゃいました。
http://reinigen.blog54.fc2.com/blog-entry-60.html
http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20061011/p2
 このたびの判決に係る情トラさんがご指摘の

地方自治法第245条の9第1項に基づく法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準」が,「法的拘束力」を持つから,それに違反する公文書開示決定を取消す

ではなくて

地方自治法第245条の9第1項に基づく法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準」が,「鳥取県情報公開条例第9条2項1号にいう実施機関が従わなければならない各大臣等の指示その他これに類する行為」に該当するから,公文書開示決定を取消す

という理解をすべきではないかとの指摘について、私もそこに落っことそうと試みたのですが、同判決には明確に

文部科学大臣は、(中略)法定受託事務を処理するに当たりよるべき基準の一部として、法的拘束力を有する一般基準を定めることができると解するのが相当である。
判例地方自治No.281」56ページ

と言い切っています。
 しかしながら、よしんば本件における文書の公開が宗教法人に損害を与えるものであるので公開が妥当ではないという「結論」であっても、その根拠を通知の法的拘束力に求めるのは妥当ではないでしょう。
 なお、上記の情トラさんの記事においてご紹介の片山知事の定例記者会見におけるお言葉が素晴らしい。

 これは全国の自治体もいけないんですよ。みんな単なるアドバイスや助言であるにもかかわらず、みんな拘束力があるかのごとく、自治体の方も振る舞ってしまうんですね。そうするとみんななびいてしまうわけです。これが日本の行政の悪いところで、不明朗、非効率的、非論理的、非合理的になるわけですよね。
http://www.pref.tottori.jp/kouhouka/kaiken/180215.html#04

 言葉もありましぇえん。
 しかし、国の自治体に対する関与については、知事がご指摘の「不明朗、非効率的、非論理的、非合理的」な中央官庁の「間接キック」が市民に影響を与えることが妥当であろう筈がなく、やはり必要な事項があれば法定化されるべきでありましょう。