自治体法務の備忘録

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生活保護と「通達」

 自治体に対する多大なな「通達」の関与については、Reinigenさんが上記の記事の中で生活保護を例にあげて以下のようにご指摘されています。

第1次地方分権改革で、国の自治体に対する関与は法定主義となった。しかし、処理基準の制定権限は、この関与制度とは別枠のものであり、実態としては、分権改革以前に機関委任事務に関して発せられた通知・通達を、「処理基準」に衣替えしただけのものも存在する。生活保護の実施要領は、量的に見ても、その代表格と思われる。

 生活保護の実施要領の実態については、「ガバナンス」10月号の「【特集】現場から考える『生活保護』」に次のように記載があります。

 行政事務で重要なのは「根拠」だが、そこが危ぶまれているのだという。ワーカーのバイブルは、厚労省の出す処理基準や通知類をまとめた『生活保護手帳』と『別冊問答集』。しかし『別冊問答集』は1993年依頼絶版のままだ。
 新たに出された通知類は、厚労省→県→市保護課→福祉事務所とファクスで流され、ワーカーは回覧されるのみ。それをファイルにとじるわけだが、ケース対応と事務処理に追われる中、見出しを整理して索引を付ける暇などない。判断に迷ったときは、頁を繰って該当する通知を探すしかないのだ。
「ガバナンス」10月号 39ページ

 なお、同特集には、川崎市生活保護行政をご担当された山口道昭教授(立正大学)の「『現場』から考える生活保護政策法務」の寄稿もあり、興味深い内容です。ご興味ある方はご一読を。