自治体法務の備忘録

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分別したゴミだけ所有権

 横浜市がゴミの分別ルールを守らない市民に対して過料の導入を検討しているという旨の記事について、tihoujitiさんが同市ではゴミの所有権を条例中で宣言していることに触れて以下のようにご指摘されています。

ちなみに市に所有権が帰属するのは、「横浜市が定めた一般廃棄物処理計画に従って家庭から排出された廃棄物の所有権」(横浜市廃棄物等の減量化、資源化及び適正処理等に関する条例第25条の2)なので、正しい分別をしていない=横浜市が定めた一般廃棄物処理計画に従って排出していない、と整理するのかな。でないと、「このゴミは正しく分別していないので過料を課します」「なんで?このゴミの所有権は既に横浜市に移転してるんだから、責任は横浜市にあるんじゃないの」っていうやりとりが行われかねない。
http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20070314#p1

 いやあ、笑った。確かに横浜市一般廃棄物処理計画(http://www.city.yokohama.jp/me/pcpb/keikaku/jigyo_gaiyou/18gaiyou/shi2.pdf)を見ると分別の内容が規定されていますね。これに従ってよ、ということなのでしょうな。
 とはいえ、結局のところ、そもそもが廃棄物の適正な回収に係る実務と所有権の宣言の並立は難しいのではないでしょうか。
 所有権というのは、その管理下に置かれることをもって認められるべきもので、宣言によって発生するわけではなく、条例において所有権云々を規定したにしても、それは集積所に置かれたことをもって市の管理下に入ったとした上での確認的な宣言であろう、と解していたのですが。同じ集積所に置かれたものであっても分別の可否によって管理下の是非を問うというのは、ちょっと説明が苦しいな。
 集積所に置かれたゴミに放火されて隣家が被害を被った場合に、分別の可否をもって賠償の可否を論ずるという妙な話になりかねないですよね。