自治体法務の備忘録

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条例制定の処分性

 横浜市の保育園に関する地裁判決を巡って、表記の件について以前にご紹介した(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20061116/p1枚方市の判決(平成17年10月27日)について、「判例地方自治」No.287/18年索引・解説号(ぎょうせい)に村田哲夫教授(大阪学院大学)が、区立小学校の廃止に係る条例の制定について処分性を有しないとした判例最高裁平成14年4月25日)と比して解説を寄せられています。

本件判決は、市町村が、保護者の希望した保育所への入所を承諾した場合には、市町村と保護者との間に、保護者が当該保育所における保育を受けることを内容とする利用契約(公法上の契約)が締結されたものと解するとして、この契約に基づく権利は、原則として利用契約の存続期間中、すなわち通常は就学するまで保護されるものとした。その上で本件条例の制定行為は上記権利に直接影響を及ぼす行政処分とした。すなわち、保育所の利用関係が継続する限り保護者の利用上の権利利益を一方的に失わせることになると考えられるからである。
(63頁)

 また、「判例地方自治」No.288/19年4月号では、「はんれい最前線」のコーナーで、7頁を割いて、伴義聖弁護士及び子安政夫氏(市川市)により各自治体における同種の判例について検証が行われています。
 ここでは前述の区立小学校の廃止に係る最高裁判例に触れた上で、「結論的には、均衡を失している印象は否めません。」と指摘されています。とはいえ、これは、保育園に廃止に係る判決について批判的と言うよりは、現行の児童福祉法に基づく「保育園制度」の、ある種の「いびつさ」が俎上に乗せられているといってよいでしょう。