自治体法務の備忘録

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開票の迅速化

 nationfreeさんがご掲載の記事から

選挙事務は、「戦争」なのです。ほんとう、大袈裟でなく。
これは、やったことのある人にしかわからない。
平時の準備で、100%勝敗が決まる。物資の補給ルートを考えておく。万が一のバックアップ体制。PCを導入すれば、PCがもしもダウンしたとしても、どうやって「止めずに」執行する方途があるのか考えておく。もしも、停電したらどうするか?負傷兵が出たら、戦力補充はどうするか?
http://d.hatena.ne.jp/nationfree/20070408#p1

 ご指摘のとおり、この手の事務はともかく段取り勝負というところがありまして、綿密な設計がことの成否を左右します。
 このたび行われた統一地方選の前半戦では、多くの自治体で開票の迅速化が試みられました。

 机の配置は、建築課の職員が会場内を測定し設計したものだ。会場では、机の高さを調節したり、イチゴパックを使用するなど、小諸市や相馬市などで全国区になった様々な工夫が随所に見られる。さらに、三次市バージョンに改良され、扱いやすくもなっている。
 例えば、第1点検用のイチゴパックは色テープをつけただけだったが、第2点検が終了した際には、パック自体に色をつけ一目で分かるようにした。疑問票の処理も、効力判定マニュアルを作成し、職員だけでなく立会人にも周知徹底した。疑問票審査係には、市内の弁護士と司法書士を雇用した。審査係の机上にも、効力判定が一目で分かるように項目を記したプレートを配置した。
http://www.janjan.jp/election/0704/0704060228/1.php

 各選管は「票を同じ向きにそろえる」「票を入れるケースの色を候補者別に変えて正確さを高める」など細かく配慮。「作業台の高さを調整して腰の負担を軽くする」(南郷、門川、高鍋町)「透明のイチゴパックに票を入れて輪ゴムの取り外し時間をなくす」(日南市、門川町)など知恵を絞ったことが奏功した。
http://www.the-miyanichi.co.jp/domestic/index.php?typekbn=1&top_press_no=200704120104

 大票田の山形市は、候補者ごとに投票用紙を仕分ける作業でサクランボパックを使用した。パックの中で用紙はきれいに重なり、他候補の用紙が混入することなく作業がはかどった。全国的にはイチゴパックを採用している自治体もあるが、一回り大きく安定しているサクランボパックの方が用紙を取り出しやすいという。
http://jyoho.kahoku.co.jp/member/news/2007/04/20070410t51020.htm

 「仕分け係」「疑問票判定係」など一人一役だった職員の役割を、一つの作業が終わると別の係に合流する「一人二役」「一人三役」に改めた。票の点検・集計の流れを2列から5列に増やし、職員が動きやすいように履物をスリッパから運動靴に変更した。開票台も、腰を曲げずに楽に作業できるように15センチ高くした。
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070407p101.htm

 笛吹市選管は知事選の開票で、職員を十五人ずつグループ化。五つのレーンで、各グループが分類から票数計算まで一連の仕事を流れ作業でこなした。疑問票の審査には弁護士二人に入ってもらい、判断が難しい票へのアドバイスを受けた。これまでの作業別に担当者を配置、出番が来るまで待機するという無駄を省くことに成功。
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2007/04/01/3.html

 「民主主義のコスト」という認識においても「可能なものは削減すべき」という意識付けは時代において当然の流れと言えるところ、むしろ、「より良い仕事のためにどれだけ職員が創意工夫できるか」という試みが当然のように行われていることが心強いですね。