自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

罰則の不整合

私「冗談はさておき、分権が進んで、自治体が独立した行政主体として法で規定されている事態において、罰則の取り扱いに不整合が生じうる事例はあるんだよ」
後輩「個人情報法と条例の関係ですね」
私「うん、行政機関が保有する個人情報の取り扱いについては、法律で官庁等を、条例で自治体を、と対象をすみ分けているのだけれど、同じ行為について罰則の上限が異なる」

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
第五十七条 偽りその他不正の手段により、開示決定に基づく保有個人情報の開示を受けた者は、十万円以下の過料に処する。

私「個人情報保護法第57条に規定する事項と同様の行為について条例で過料を付そうとしても、法律の10万円に対して自治法の制限で5万円が上限になる。」

地方自治法
〔条例〕
第十四条 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
② 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
③ 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮(こ)、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

私「まあ、今回の、細目的規定に係る上書き権とは別の話だけど、自治体における法設計がもっと信頼されても良いよね。」
後輩「なんでもかんでも『死刑』っていう人がいますから。」
私「そんな、人を『こまわりくん』みたいに」
後輩「知りませんよ、そんなの」