自治体法務の備忘録

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理系か文系か

 hoti-akさんがご掲載の記事から

 私は、文系の大学を出ているのだが、高校の頃はどちらかと言えば理系科目の方が成績は良かったと思っている*1。だからというわけではないが、法制執務というのは、どちらかというと理系向きの業務ではないかと感じるのである。
http://d.hatena.ne.jp/hoti-ak/20070623

 ボツネタ経由(http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20070604/p5)の記事(http://www.cnn.co.jp/science/CNN200706030001.html)よると、人差し指より薬指の長い男の子は数学が得意だそうですが、hoti-akさんは薬指が長いのかな。
 実は私も高校2年まで理数系だったのですが、数学の微分積分の授業が進むにつれ、純粋な理系の人とは勉強の過多では埋めきれない頭の構造の違いを感じ、受験に際しては文系に進みました。ですから、今でも、白衣にビーカー、フラスコを手に持つ科学者然としたたたずまいには憧れてやまないのですが、まあ、それは余計な話し。
 さて、hoti-akさんがご指摘の事項ですが、「純粋」に理系の人はやはり法制執務には向かないのでは、と思います。
 というのは、私の前職の民間時代における最後の職務が金融商品の設計でして、職場の半分以上が理系、というか数学部の出身の数理計算のプロフェッショナルという特殊な部署で、前述のような頭の構造の違いを改めて感じた、というか、理系の一定以上の水準になるとその思考は言語化されない抽象化された事象に至るのかなあ、感慨を持ったことがあるからです。そんな部署で私に期待されていたのは、どうやらその「言語化されない抽象化された事象」に至らない分野であったようなのですけれど。
 また、数学がご専攻のある大学教授に、国際会議に出席されたというお話しを聞いた際に、「英語、お得意なんですか」とお聞きしたところ、「いや、僕たちは数式で会話をするからね」と言われて目を白黒させたこともあります。多少のからかいの意図はあるのでしょうが、上記の経験を踏まえるとまんざら嘘とも思えない。
 もちろん、hoti-akさんがご指摘のようにドライに構文を組み立てていくさまは理系的要素があるとは思います。
 また、以前にもちょっと書いたことがあり(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20060331/p2)、いささか霊感めきますが、大量の関係法令を参照しながら条文を編み込んでいく締め切りの間際には、構成されたリクツの相関関係が頭の中で色分けされた上で立体的にイメージされることがあり、「言語化されない抽象化された事象」をかいま見る感があります。
 とはいえ、それを逃がさないようにガシガシと書き込んでいく段階の「言語化」こそが法制執務の本懐のような気がします。
 お名前は失念したのですけれど、以前に読んだ翻訳者の方が書かれた文章で、翻訳に必要なのは英語よりもむしろ日本語の知識だ、という内容がありました。この場合で言えば、リクツを「伝える」という行為に際して要求されるのは「言語」に寄りかかる文系的な素養なのではないでしょうか。
 と、ここまで書いて、自分の手を見る。
 ああっ!人差し指より薬指の方が長いっ!!*1

*1:爪1枚分長いって、結構長いのか