自治体法務の備忘録

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市場の競争と政策法務

【都、分譲マンションの環境性能表示対象を拡大】
 東京都は大規模分譲マンションに条例で義務付けている販売広告への環境性能表示の適用対象を拡大する。7月から、届け出制で大規模賃貸マンションと中規模マンションを追加する。
 来年度の条例改正では追加分も届け出制から義務化を盛りこむ方針。都では対象とする範囲を広げ、家庭部門の温暖化対策を急ぐ。
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20070628c3b2805928.html

 東京都の条例に大規模分譲マンションが規定されたときの拙blogの記事はこちら→http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20050223/p2
 条文の内容は以下のとおりです。

【都民の健康と安全を確保する環境に関する条例】
 (特定マンションの環境性能の表示等)
第二十三条の三 特定建築主のうち特定マンションの新築等をしようとする者(以下「特定マンション建築主」という。)は、特定マンションの販売を目的とした規則で定める広告をしようとするとき、又は他人に販売若しくは媒介の委託を行った場合において当該販売若しくは媒介の委託を受けた者(以下「マンション販売受託者」という。)が販売を目的とした規則で定める広告をしようとするときは、表示基準に基づき、当該広告中にマンション環境性能表示を表示し、又はマンション販売受託者をして表示させなければならない。ただし、規則で定める広告については、表示し、又は表示させることを省略することができる。
2 前項に規定する場合において、マンション販売受託者は、特定マンション建築主が行うマンション環境性能表示の表示に協力しなければならない。
3 特定マンション建築主は、最初に第一項の規定による表示をし、又は表示をさせたときは、規則で定める日までに、規則で定めるところにより、その旨を知事に届け出なければならない。

 同条例には、また、家電製品の量販店に製品の省エネ機能の表示を義務づけています。同方針が報道されたときの拙blogの記事はこちら→http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20050118/p3

 (省エネルギー性能等の表示)
第二十五条の四 一の販売店において特定家庭用機器を規則で定める台数以上陳列して販売する家庭用電気機器等販売事業者(以下「特定家庭用機器販売事業者」という。)は、当該販売店において、当該規則で定める台数以上陳列する特定家庭用機器について、相対評価その他の規則で定めるエネルギーの使用の合理化その他地球温暖化の防止に係る性能等(以下「省エネルギー性能等」という。)を示す事項を記載した知事が定める書面を、相対評価方法等基準に基づき作成し、当該特定家庭用機器の見やすい位置に掲出しなければならない。
2 一の販売店において特定家庭用機器を前項の規則で定める台数未満陳列して販売する家庭用電気機器等販売事業者は、当該販売店において、当該規則で定める台数未満陳列する特定家庭用機器に前項に規定する書面を掲出することができる。

 許認可で縛るのではなくて、市場の適正な競争を期待した、流通における評価基準を義務づける試みです。
 市場の競争を期待できるのは、都下の巨大な商業市場を有する故でしょうが、東京都では、よくトラブルの種になる住宅賃借の「敷金」の公正な取扱いについて条例で徹底させることにより、結果的に敷金相場を引き下げさせた「実績」もあります。拙blogでの記事はこちら→http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20060919/p1
 おもしろいですね。