自治体法務の備忘録

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続・「資産等の公開に関する条例」の改正に係るメモ

 「資産等の公開に関する条例」については、先般、改正に関するメモを掲載しましたが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20070717/p1)、既に制定された「政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律」の改正に係る附則の経過措置の規定ぶりについて照会を受けました。
 まず、法律の附則では以下のように規定されています。

郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)】
 (政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律の一部改正に伴う経過措置)
第百二条 第百二条による改正後の政治倫理の確立のための国会議員の資産等の公開等に関する法律第二条の規定の適用については、施行日前に有していた郵便貯金(通常郵便貯金を除く。)及び郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)附則第三条第十号に規定する旧郵便貯金(通常郵便貯金を除く。)は、預金とみなす。

 ご照会の内容は以下のようなものでした。

 「預金」とみなされるものとして規定された

はどう違うの?「旧郵便貯金」だけでは足りないの?

 拙blogをご覧になるような方々は既にご検討の上、ご理解されていらっしゃる事項かと思いますが、回答はメールでしたこともあって、せっかくなのでコピペして掲載しておきます。

(1)経過措置で公開の対象となるのは
 ・施行日前に有していた郵便貯金
 ・旧郵便貯金
 の二つの語句に分解することが出来ます。
(2)さて、郵政民営化に伴い、郵便貯金は、郵便貯金銀行が運営する「預金」として取扱いになりました。
 これにより、原則として貯金に係る政府保証はなくなるわけですが、民営化前に預け入れられた定期性の郵便貯金については、独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理機構が管理を行うこととなります。
 これが上記(1)後者の「旧郵便貯金」に当たり、民営化後は銀行法の「預金」とされないものです。
 つまり、10月1日以降の時点で資産等報告書を作成する際に首長にその「旧郵便貯金」の保有がある場合は「預金」と併せて公開せよ、というのが経過措置の一つの趣旨です。
(3)さて、資産公開条例においては、首長任期開始時における資産等の報告を行う趣旨でありますが、その期限は100日以内とされており、例えば9月1日に首長が就任した場合は、その日付時点で資産等報告書を作成する必要があるため、10月1日の郵政民営化以降に公開の事務を行うに当たって、上記(1)前者の「施行日前に有していた郵便貯金」を規定しているのが経過措置のもう一つの趣旨であるわけです。
(4)じゃあ、首長が先頃の統一地方選で選ばれたような場合は10月1日以前の上記期限内に資産等の公開を既に実施しているので、上記(3)の経過措置は不要なの?という疑問が当然のように出ますが、先行の各自治体でも同様に定められているところをみると、これはおそらく、不測の事態によって、10月1日直前に首長が替わってしまう事態を想定しているのかと思います。