行政庁間のパブリック・コメントの運用
今更なんですが、上記のパブリック・コメント手続に関連して。
ちょっと前にjoho_triangleさんが
都道府県条例と市町村条例―自治・分権時代の条例間関係の理論 (慈学社ブックレット 慈学社政策法学ライブラリイ 13)
- 作者: 澤俊晴
- 出版社/メーカー: 慈学社出版
- 発売日: 2007/05
- メディア: 単行本
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- 調整過程でのパブリック・コメント等について
- 本書は,「閉ざされた行政内部での調整ではなく,調整過程を一定程度公開するとともに,最終調整案をパブリック・コメントにかけることなどが必要」と指摘し,調整過程でのひとつの手続として,一般住民をその対象としたパブリック・コメント制度の必要性に言及している(p.117)。
- 続いて,「都道府県条例案作成への市町村の参加手続や市町村条例案作成時での都道府県意見表出手続の創設が必要だと考えられ」るとも指摘しており,確かにそうした手続の必要性はあるといえるところである。
- しかし,何もこのような手続を新たに創出しなくとも,パブリック・コメント制度をより一層活用することで,そもそもの目的を達成することもできるのではないか。
ここで、joho_triangleさんはパブリック・コメント制度の活用で行政主体同士における対等な情報提供と意見交換が十分に行われることを期待されていらっしゃるのでしょうが、まあ、基礎自治体の実務屋としては「(パブリック・コメント手続の)案が出来る前にちょっと関わらせろや」という気はやはりせんでもない。
というのは、一般の方々と同時に関係行政機関との調整のための聴取が行われるとしたら無用の混乱を招きかねないのではないかという気がするからです。また、パブリック・コメント手続における意見の反映結果については、修正の割合が大きいことを是とすべきか非とすべきの議論もあり(多数の意見が反映された点を肯定的に捉えるか、不確定なものに意見の公募を求めたとして否定的に捉えるか)、制度の運用は国においても手探りであるのが現状でしょう。
おそらく、上記書籍で著者の澤俊晴さんがご念頭におかれたのも、「提示された制度の修正」にとどまる対処よりも、場合によれば総合設計にも関わるような「自治体間の垂直的な関与・参加、水平的な連携・協力的な関係」ではないでしょうか。
まあ、上記の議論については制度が開始され始めた当初からこの分野にご注視されていたjoho_triangleさんはご存じの事項でしょうし、また、ご指摘は、それこそ「提示された制度の修正」にとどまらない、場合によれば総合設計にも関わることをも可能にする「参画のための仕組み作り」への期待であろうかと思います。
とはいえ、もちろんご指摘のとおり、もとより広域自治体のパブリック・コメント手続において基礎自治体が除外される理由はなく、むしろ行政主体間においても積極的な活用が望まれるべきであることは論を待たない。
となれば、まあ、branchさんがご掲載されていた(http://www.seri.sakura.ne.jp/~branch/diary0707.shtml#0717)総務省と経済産業省の電波利用料を巡る以下の記事に掲載のやりとり
総務省が募集中のパブリックコメントに、経産省は週明けにも反対意見を表明する。一省庁の政策に別の省庁が公の場で反対を表明する事例は極めて珍しい。
(略)
これらのことから、経産省では「閣議決定だけで利用料を変更できるようになれば、総務省が半ば自由に値上げできるようになる。ITを利用して経済を活性化するとの国策に逆行する」と反発している。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070715i201.htm
も一概に否定はできないのかもしれませんな。(branchさんがご指摘のとおり政令は閣議事項だから、なんだかなあ、と思いつつも
私「国の納得行かない政省令の改正に、今度意見提出してみようか」
後輩「感情論でふっかけても迷惑になるだけだからおやめなさい」