自治体法務の備忘録

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それぞれ当該

 hoti-akさんがご掲載の記事から

 前の各号という用語を受けて「当該各号」と書く場合としてよく見られるのは、次のとおり施行期日と定義規定を各号で書く場合である。

○ この法律は、平成○年○月○日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、(それぞれ)当該各号に定める日から施行する。
○ この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、(それぞれ)当該各号に定めるところによる。

 いずれの場合も、法令では「当該各号」の前に「それぞれ」と書く例と書かない例がある。所管省庁による違いということで言うと、法務省所管の法令は書くが、旧自治省所管の法令では書いていないような感じである。田島信威『最新法令用語の基礎知識(改訂版)』(P34)では、このように用いる「当該」という言葉の意味は「それぞれ対応する」という意味であるとしているが、そのように考えるのであれば、「それぞれ」は不要なのであろう。
http://d.hatena.ne.jp/hoti-ak/20070824#1187964180

 そうなんですよねえ、所管省庁ごとにクセがあるようで。
 hoti-akさんも掲載されていますが、旧自治省出身の早坂剛氏は「それぞれ」を削除せよ、とご著書で明記しています。

(kei-zu注:「立案の実際」の章において条例案審査の例として、条例原案の「定義規定」の箇所を指摘して)
 柱書きの「それぞれ当該各号」の「それぞれ」を削除する。
「当該」は、法令用語であるが、次の3つの用法がある。
(1)ある規定中の特定に事項をとらえて、その事項がその規定またはほかの規定で引用する場合に、それが前に規定された特定の対象と同一のものであることをあらわす場合の定冠詞として用いる。この場合の「当該」は、「その」という意味である。
(2)「そこで問題となっているそれぞれの」の意味を持つ。原案の条例の「当該」はこれに当たる。
(3)立入検査等の職制上特定の事項について、「正当な権限を有する」職員という特殊な意味で用いる(「市長は、〜について、当該職員をして立入検査をさせることができる。」)。
「条例立案者のための法制執務」(ぎょうせい)95ページ

 私自身は「法文は簡潔をもってなすべし」との観点から、自分の中の線引きで最近は「それぞれ」を取っています。