自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

続・多選「禁止」条例を巡って

 昨日ご紹介した(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20071011/p2)神奈川県の知事の多選禁止条例が違法との総務省の見解が出ている(http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20071011AT3S1101F11102007.html)ことについて、具体的な違反内容は何なのか、というtihoujitiさんによるご指摘(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20071011)に対し、joho_triangleさんが首長の多選問題に関する調査研究会報告書を引用されてコメントされていました。

おそらくは,先般,まとめられた「首長の多選問題に関する調査研究会報告書(@首長の多選問題に関する調査研究会)」のうち,次に掲げる部分をふまえたうえでの「見解」なのではないかと。

 地方公共団体の長の多選制限は、どの程度の期間在任できるかという在任期間の制限であり、任期と同様に、地方公共団体の組織及び運営に関する基本的な事項である。したがって、在任制限を制度化する場合には、法律にその根拠を置くことが憲法上必要であり、地方公共団体の組織及び運営に関する事項を一般的に定めた地方自治法において規定することが適当であると考えられる。

http://d.hatena.ne.jp/joho_triangle/20071011

 なお、以下の記事よると、このたびの条例の制定自体が、法改正をにらんだ知事の政治的な判断であったことようです。

【神奈川の知事多選禁止条例案、他知事から否定的意見】
 総務省公選法など法律上の根拠がないため違法との立場だが、松沢知事の提案の狙いは、条例で多選を禁止できるように法改正を促すこと。千葉(2期)、埼玉(同)などの知事は「独自に条例で決めればいい」などとして、地方自治体の判断次第との考えを示した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20071011i115.htm?from=navr

 分権後の自治体のあり方について、「地方自治法」自体を「自治基本法」とでも言うべき形で法整理を行い、自治体の運営の自由度を拡大すべきだという議論がある原状において、やはり、法に根拠が無い限り違法だという解釈は、なお検討の余地があると思います。