自治体法務の備忘録

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住民訴訟に係る弁護費用の算出

 標記の件に係る、今年3月28日の京都地裁判決(http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=04&hanreiNo=34488&hanreiKbn=03)に関する控訴審の判決が、市民オンブズマン事務局のblogにアップされていました。
【07/9/28 宇治市談合弁護士報酬訴訟 逆転敗訴】http://ombuds.exblog.jp/d2007-10-25

地方自治法242条の2第1項第4号に基づく住民訴訟の目的が、住民全体の利益のために地方公共団体財務会計上の行為を正すことにあって、訴えを提起した者又は地方公共団体の個人的な権利利益の保護救済をはかるためにあるのではない等の制度趣旨に鑑みるとき、同法242条の2第7項により、当該住民訴訟において勝訴(一部勝訴を含む。)した住民が弁護士費用として請求しうべき相当額を算定するに際しては、勝訴(一部勝訴を含む。)に係る判決の認容額や現実の入金額をもって算定すべきではなく、算定不能として、算出すべきである。
(7頁)
http://www.ombudsman.jp/data/070928.pdf

 原審では「少なくとも報酬金については、弁護士報酬額算定の基礎となる経済的利益の額は算定不能と解する余地がないでもないが、他方、どのような規模の住民訴訟においても、常に住民訴訟の報酬金算定額を算定不能として800万円と擬制するのは硬直的に過ぎるというべきである。(9頁)」としましたが、住民訴訟に係る訴訟提起の手数料算定の基礎となる訴額を「算定することができない」とした昭和53年3月30日の最高裁判決(http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26578&hanreiKbn=01)の考え方を踏襲したものと考えられます。