自治体法務の備忘録

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法解釈権の主体

 地方分権の折から、自治体による独自の法解釈なんてことが言われて久しいですが、法の解釈権なんて、極論として、自治体どころか中央官庁にもなく、上記のとおり裁判所にしかありません。

 最後に、今日の課題のひとつでもある自治体の解釈権についてひと言触れておきます。私は自治体に解釈権があるとは思っておりません。
 国が公定解釈を出すのに対して自治体がこれに対抗した別の解釈をするというのは分かるのですが、最終的な法令の解釈権があるのは、私は裁判所だと思っています。
成田頼明名誉教授(横浜国立大学)の96年自治体学会におけるご講演から(「自治体法務NAVI Vol.13」9頁)

 とはいえ、「自治体による独自の法解釈」というのは、争訟法務という政策法務の一側面の積極的な活用を論じているわけで、前述の論は、まあ、意地悪な言いぶりなのですが、逆に言えば、法解釈に当たっては、独りよがりな理論を振りまくのではなく、謙虚な姿勢が求められているということになります。
 当たり前ではないか、という指摘はありましょうが、現状の自治体の立法政策のもとでは、これがなかなか実現できていないのではないか、という密かな危惧があるのは事実です。(もっとも、訴訟に際しての「戦略」として「解釈」の理論構成がされる場合は別でしょう。為念)