自治体法務の備忘録

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給食の牛乳

 tihoujitさんがご掲載の記事経由で(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20071117

【給食で「国の基準」に反旗、足立区が独自献立作りへ】
 国の基準に従うと、例えば牛乳は、週3回ある米飯の日にも出さなければならない。牛乳の代わりに温かいみそ汁をつけ、カルシウムは小松菜や小魚やチーズなどでとれないか。子供の嫌いな豆を半分にして、穀物や豆腐で補えないか――。担当者は「せっかく各校に栄養士がいるのに、項目や数値が細かすぎて腕の振るいがいがない。自由な発想で、子供の喜ぶ献立を工夫したい」と語る。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071117i5w5.htm

 学校給食において牛乳が必須であると省令で定められていることについては、半年ほど前に拙blogでも掲載したことがあります。

 子どもの頃、給食でパンの代わりにご飯が出る場合、カレーライスならまだしも五目ご飯であっても牛乳が出るのには、子ども心に首をひねりましたが、まさか法定とはね(省令だけど)。
 学校給食法と酪農振興法はともに昭和29年6月に公布されており、当時の日本の栄養政策が推察できて興味深いですね。
http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20070617/p1

 上記の記事に係る私自身コメントの中で、昭和27年のGHQ解体について触れていますが、牛乳推進の施策自体が、占領下の政策を色濃く残す背景によるものといって良いでしょう。
 また、paco_qさんは、上記の拙記事に触れていただいた上で、行政手続法に規定された検討を指摘されています。

2005年改正により導入された行政手続法の次の規定(当然のことを確認したに過ぎない確認規定ですが)

第38条  命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては,当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は,命令等を定めるに当たっては,当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
2  命令等制定機関は,命令等を定めた後においても,当該命令等の規定の実施状況,社会経済情勢の変化等を勘案し,必要に応じ,当該命令等の内容について検討を加え,その適正を確保するよう努めなければならない。

の2項の趣旨からすると,そろそろこの施行規則は見直しの時期にあるのではないかという気がします。
http://d.hatena.ne.jp/paco_q/20071118/1195342365

 tihoujitさんは「これも地方自治?」との標題を付けられて、

 牛乳を無くすことにより失われる栄養分を他のメニューで補えるなら問題はないように思えるが。というよりも、仮に牛乳が飲まれていないなら必要な栄養分が摂取されていないということであり、であれば摂取できるよう創意工夫することこそが法律の理念に沿うように思える。

と掲載されていますが、地産地消が叫ばれ、また、子ども達に画一的でない魅力有る食事の提供が検討されるべき時勢の中で、「地方自治」が要請されている側面かもしれません。