自治体法務の備忘録

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会議録を作らず 竹原市議会

 竹原市議会の議会事務局が、2005、06年度に開かれた旧建設産業委員会と民生産業委員会の会議録計10回分を作っていなかったことが10日、分かった。担当職員の作業の遅れが原因とみられ、昨年4月に別の部署へ異動後も録音テープを自宅に持ち帰ったままだった。市は「長期間持ち出しは問題がある」として事情を聴いている。
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200803110051.html

 地方議会における立法過程の記録が十分でないことは、健全な法運営を期待する上でも支障になろうかと思います。
 昭和28年に製作された映画の著作権に係る存続期間について、最高裁判決において、改正法の規定ぶりから延長が認められなかったのは記憶に新しいところです。同判決では、延長の趣旨が立法の過程で明らかでなかったことが指摘されました。判決文には以下のようにあります。

本件改正法の制定に当たり,そのような立法者意思が,国会審議や附帯決議等によって明らかにされたということはできず,法案の提出準備作業を担った文化庁の担当者において,映画の著作物の保護期間が延長される対象に昭和28年に公表された作品が含まれるものと想定していたというにすぎないのであるから,これをもって上告人らの主張するような立法者意思が明白であるとすることはできない。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20071218155544.pdf

 また、広島市暴走族追放条例については、批判的な意見もあるものの、最高裁では、その立法の趣旨をくんだ判決がなされました。
 同条例については、広島市議会で修正案まで出されながらも、これが否決されて、定例会において全員一致で可決された経緯があります。その過程において、立法の趣旨について議論されたことは想像に難くありません。高裁判決には以下のように記載があります。

そこで,広島市においては,(略)平成14年3月1日,本条例案広島市議会に提出し,同市議会予算特別委員会に付託され,本条例16条1項の「何人も」とあるのを「暴走族の構成員は」と修正する等の修正案が提出されたものの否決されて,本条例案がそのまま可決され,同月27日,同市議会定例会において,全員一致により,原案どおり可決されて本条例が成立し,罰則規定の本条例19条以外は同年4月1日から施行され,罰則規定の本条例19条については同年5月1日から施行された。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/8B9E1A2952652F9749257088002C0F1C.pdf