自治体法務の備忘録

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首里城復元と公文書

 ちょっと前に、国立公文書館の強化に関する有識者会議の中間報告についてschwantnerさんがご紹介されていた記事(http://d.hatena.ne.jp/schwantner/20080701#p1)を読んで、NHKの「プロジェクトX」で放映された、沖縄の首里城の復元に関する話を思い出しました。

 首里城は、太平洋戦争で米軍の上陸時に徹底的に破壊され、復元に当たっての資料も限られたものであったそうです。写真もあったが、何せ当時のこと、白黒写真では「色」がわからない。現存する絵画で塗られた色は、赤であったり黒であったりして非常に難儀したとのこと。
 赤だと結論付けてからがまた大変。複数使われていたと思しき具体的な色彩は、それぞれどのようなものであったのか。

 最後までわからない色があった。城の品格を決める窓の格子を彩る赤。『寸法記』に書かれていた「赤土ぬり」だった。
(204頁)

 「古文書の鬼」とまで呼ばれたという高良倉吉氏(沖縄県沖縄史料編集所)は、その正体を探ろうと悪戦苦闘します。東京に移り住んだ王家の末裔を訪ねて、古文書で見つけたのは「久米の赤土」の語。

 沖縄に戻った高良は、夜を徹して久米島に関する史料を洗い直していた。あるとき、ページを繰る手が止まった。目が1か所に釘付けになった。一九世紀に久米島仲里村の役人が書いた『久米仲里間切公事帳』のなかに、首里王府へ献上した久米島の特産品の記録があった。
《御用の筵(むしろ)、ハゼ油、夜行貝の貝殻、久米赤土》
「これで間違いないと思いましたね」
(204頁)

 その業界であればよく聞く事例なのかもしれませんが、役人の記述する行政記録が文化事業の手助けになるとは随分おもしろいな、と放映時に思ったものでした。