自治体法務の備忘録

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水はなんにも知らないよ

 「ありがとう」の言葉を見せると水はきれいに結晶し、「ばかやろう」の語を見せると崩れた形にしか結晶しない。
 そんな話を皆さんは目にされたことがあるでしょうか。
 そもそも「水の結晶」という言葉が意味不明で(「氷の結晶」ではない!)、基礎的な科学常識から逸脱していることから多くの科学者が無視する反面で、学校の道徳の授業に取り上げられる事例が出てきていることに著者は警鐘を鳴らします。
 上記の論の提唱者は怪しげな「波動ビジネス」とでも言うべきものを経営しているそうで、一見「科学的」なようであって実はビジネスモデルとなっている事例として、著者はほかにも「アルカリイオン水」「ミネラルウォーター」等の「水商売」を取り上げます。
 読後に感じたのは、厳しい基準に支えられた日本の水道水の安全さについて、行政マンはもっと誇りに思って良いということ。それにしても「ミネラルウォーター」より水道水の方がミネラル分が多い例もあるとはね。
 驚いたのは、ちょっと前には広く耳にした「βカロチン」の効用が現在は否定されているとのこと。健康ブームはかくも移ろいやすい。
 著者は、前述のとおり、学校の授業でこの手の話が取り上げられることについて、無批判に用意された素材を利用する教育者の姿勢を厳しく指摘し、自ら判断することの重要さを訴えていますが、このことは、まさに自治体法務にあっても言えることでしょう。