自治体法務の備忘録

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古紙持ち去りに条例で罰則…「世田谷方式」が拡大中

 罰則適用を認めた東京・世田谷区の古紙持ち去り事件の東京高裁判決が転機となり、7月下旬には、最高裁が高裁判決を支持して“お墨付き”を与えた。「世田谷方式」導入の動きは、さらに加速しそうだ。
(略)
 高裁判決後、世田谷区には全国から視察が後を絶たない。同区清掃・リサイクル部の松下洋章事業課長は「23区では、ほぼすべての区の担当者から問い合わせがあった。判決の影響は大きかったようだ」と話す。
http://www.yomiuri.co.jp/eco/news/20080804-OYT1T00343.htm

 最高裁判決の当時、tihoujitiさんが「類似の条例を制定する場合は世田谷区の条例を参考にすることも考えられる」とご指摘されていましたが(http://d.hatena.ne.jp/tihoujiti/20080719/p1)、実際にその動きがあるようです。
 記事を読んで気になったのは、

 しかし業者も手ごわい。パトロール車に気づくと、すぐに隣の大田区へ逃げてしまった。「自転車で収集している別動隊が何人もいて、こちらの動きを携帯電話で連絡しているようだ」。隊長の木下制治さん(61)は悔しそうだ。

 被害が区内である限り、域外でも違法性は継続するよね(自治体外の業者に委託した情報処理から個人情報が流出した場合の個人情報保護条例違反と同じ)。まあ、ここでは、区域外まで追跡がかなわない人的な限界が訴えられているのでしょうが。
 なお、記事中、自治体によっては悪質な業者の公表が実施されるとの記載があります。
 公表の手段は、それが制裁的な性格を(結果的には)持つにせよ、情報の周知に基づく第3者による「排除」が期待できなければ効果が望めない、というのはかねてから私が記載しているところですが(http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20080723/p1)、こと資源ゴミの持ち去りが世間的に反社会的行為として認可され、資源ゴミの買取業者による違法収集業者の排除が期待できるのあれば、この分野において公表という法設計も検討に値するかな、とちょっと考えを改めました。以上は過渡的なメモとして。*1

*1:とはいえ、違法収集業者からの買い取りが適法である限り、実効性が薄いのは確かなのですけれど。