自治体法務の備忘録

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給与減額の代わりに納税

 「地方行政」9月1日(自治通信社)の記事から

 十日町市と市職員労働組合連合会(組合員598人)は、市が職員給与削減案を撤回する代わりに、組合員が個々に2%、4か月分(1400万円)をふるさと納税として同市に寄付することで合意した。
(略)
 市職労は、使途として「子育てしやすい教育環境の整備」を選択。市はその意向に沿い、寄付金と市長らの減額分を合わせて、市内の全小中学校に自動対外式除細動器(AED)を配置する予定。

 これには驚きました。
 以前に、「講学政策法務」でZ-Bergさんが「ふるさと納税への恐怖感」と題して掲載された、

 個人的に思っているのは、私のように、A市職員であって隣のN市居住者である場合、A市出身であることを理由に、ふるさと納税を半ば強制してくる自治体が出現しかねないということです。
http://seisakuhomu.blog19.fc2.com/blog-entry-64.html

という記事を見て、三菱重工の社宅の駐車場には三菱自動車しか止まっていない。他社の車は駐車場を自分で借りるしかない」という知人から聞いた話しを思い出したことがあります。
 上記の真偽のほどは不明ですが、まあ、私自身も、前職の民間時には、損得抜きで自社商品の購入を要請されたことはありますな。
 実のところ、このたびの寄附控除の取扱いについては、その事務的な煩雑さを漏れ聞いていたので、基礎自治体における積極的な運用は、一部の政策的なものを除いて難しいのではないかとは思っていました。でも、まさか、このような労使交渉の結果があるとはね。
 「地方行政」の記事によると、市当局の言葉が「どの程度(住民税控除の)申告があるかわからないが、〜」と紹介され、その実施は職員の自主性に期待されているようでありますが、寄附控除制度の趣旨を顧みて、いささかキモチワルイところです。