自治体法務の備忘録

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減るのは定数か報酬か

 以前に半鐘さんがご紹介されていた(http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-19.html)、鹿児島県阿久根市議会の定数削減案が正式に提案されたようです。

阿久根市議会 「定数6極端過ぎる」】
 阿久根市議会の9月定例会が29日開会し、竹原信一市長は市議会の定数を現在の16から10削減し6とする条例改正案を提案した。議員は「削減の明確な説明がなく、極端過ぎる」「行政の監視機能が損なわれる」と反発を強めており、市長が提案した副市長らの人事議案は不同意にした。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagoshima/news/20080930-OYT8T00098.htm

 関連して思い出されるのが、議員報酬を日当制にした、福島県矢祭町の試みです。上半期の実績について、こちらも最近報道がありました。

【矢祭町議会:日当制導入、上半期の議員報酬は45万〜84万円/福島】
 全国初の日当制を導入した矢祭町議会(町議10人)の議員報酬が4〜9月の上半期で、総額555万円だったことが30日、分かった。議員1人当たりは最高84万円から最低45万円で、約1・9倍の開きがあった。
http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20081001ddlk07010303000c.html

 なお、阿久根市の人口は約25,000人、矢祭町の人口は約6,000人で議員定数は10人(平成14年に18人から削減)です。
 そういえば、議員の報酬の名称を「歳費」とする地方議会の要望に対し、改正自治法で「議員報酬」とされたのは、「歳費」には「年俸」のニュアンスがあるため、自治体において想定される多様な支給形態にふさわしくないという判断があったそうです。当然、矢祭町の日当制が念頭にあったものでしょう。
 自治体の議員に係る適正な定数と報酬については議論あるところですが、木佐茂男先生(九州大学)がご指摘されていたとおり、厳しい財政下においては、専門性を重視した少数精鋭主義とするか、報酬を定額としてでも広く人材を求めるのか、二通りの方向性があると思われます。
 両自治体の動向は、このことを端的に示していると思われますが、同様の事態は、これから少なくない自治体で模索されていくことになるのかもしれません。