自治体法務の備忘録

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鳥取砂丘条例:罰則軽減、「過料5万円以下」に 県議会委が修正案可決/鳥取

 schwantnerさんがご掲載の記事(http://d.hatena.ne.jp/schwantner/20081013#p2)経由で

 鳥取砂丘の落書きを禁じる砂丘条例を巡り、県議会教育民生常任委員会(藤縄喜和委員長)は9日、県が提案した原案の罰則を「罰金30万円以下」から「過料5万円以下」に軽減する修正案を可決した。14日の本会議で可決され、成立する見通し。
(略)
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20081010ddlk31010304000c.html

 改正前の条例は以下のとおりです。
【美しい鳥取砂丘を守り育てる条例】http://www.pref.tottori.lg.jp/secure/293447/09.pdf
 記事中に記述があるとおり、「罰金30万円以下」という罰則の軽重の判断の可否が以前から報道されていました。参考にしたという自然公園法との比較については、別にも報道されています。

【落書き規制の砂丘条例 県議会論議が沸騰】
 現行の自然公園法には広告物の掲示規制はあるが、落書きを禁止行為とする明確な定めはない。県の許可なく規制区域に広告物などを掲示した場合は罰金五十万円。ごみ捨てなど「利用者に対する迷惑行為」に対しては罰金三十万円が設定されている。

とのことで、準ずるに際してはいささか苦しいということなのか。興味深いところでは、以下の軽犯罪法との比較でした。

鳥取砂丘の落書き罰則に異論噴出 「モラルの問題」と法的規制に反対】
 請願を提出したのは、寺垣琢生弁護士(51)=鳥取県弁護士会。寺垣弁護士は長年、砂丘保全活動に取り組んできた経験から「砂丘の優れた環境を次世代に引き継ぐという条例案の趣旨には賛同する」としながらも、「道徳上の問題である落書きに、30万円もの罰金を科すのはやり過ぎ」と批判する。
 条例案が定める「30万円以下の罰金」は、器物損壊罪や文化財保護法違反(重要文化財の損壊)罪の罰金と同額。だが、寺垣弁護士は「1日もあれば自然に消えてしまう砂丘への落書きと、ものを永久に壊してしまう行為とではレベルが違う」と話す。刑罰を科すにしても、軽犯罪法の罰則である科料(1万円未満)程度が相当だという。
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/080918/lcl0809181459001-n1.htm

 「5万円以下の科料」は妥当な決着点というところなのでしょうか。
 それにしても、当初は刑事罰の目論見であったところ、「秩序罰」としての行政処分に修正されてしまった執行部としては、条例の実効性を警察に頼るわけにはいかなくなった点で大いに戸惑っていらっしゃるではないかとも思います。