自治体法務の備忘録

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遡及適用の可否

 さて、よく受ける質問に、「改正漏れに対処するに当たり、遡及適用は必要か?」というものがあるのですけれど、「遡及適用とは既に経過した事実について将来に向かって対処するため実施するものなので、既に実施した事項への対処の目的で規定すべきではない」旨を拙blogの過去記事で掲載させていただいております。
【改正漏れの遡及適用】http://d.hatena.ne.jp/kei-zu/20061106/p1
 こちらも、しやくしょ法務さんがご掲載の記事

地方税法の条項ずれをひっそりと…】
で、この政令、公布日施行なのですが附則をよく見ると平成20年4月1日に遡及適用されている部分があります。
 それが何かといいますと、高齢者の医療の確保に関する法律施行令(平成19年政令第318号)、国民健康保険法施行令(昭和33年政令第362号)などで引用されている地方税法(昭和25年法律第226号)附則第35条の3第13項が同条第11項に移動していたので遅ればせながら整備しているのです。
http://tkys.txt-nifty.com/blog/2008/10/post-1401.html

と、本年7月25日に公布された政令において、条項ずれに係る遡及適用をしている部分がありまして、なんだよkei-zu、いい加減なこと言いやがって、とおしかりを受けそうです。
 しかしながら、本事項は10月からの保険料の特別徴収の実施に当たり、その対象が規定される内容だと考えられることから、その点において「既に経過した事実について将来に向かって対処するため」という遡及適用の趣旨にかなうものだと言えそうです。
 遡及適用の可否は、改正漏れという形式的な問題の対処ではなく、やはり、その実質的な影響によって判断されるべきでしょう。