自治体法務の備忘録

管理人のTwitterは、@keizu4080

産科医療補償制度と例規改正

 全国の自治体法務担当を悩ませている、国民健康保険条例の改正に関連して、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(案)のパブリックコメントが開始されています。
【「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令案」に対する意見募集について】http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=495080225&OBJ
 上記のパブリックコメントについては、しやくしょ法務さんが丁寧に解題されていらっしゃいます。
【健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(案)】http://tkys.txt-nifty.com/blog/2008/11/post-dafd.html
 法務屋としては、

 そもそも、特に法律に基づくものでもない産科医療補償制度について法令で表現しようということになると、政令と省令を併せてですが、このような内容(概要)を規定していくことになるのも仕方ないのかなあーなんて感想ですが、やはり、すっかり出来上がってしまっている産科医療補償制度について、後からこのように丁寧に規定するというのはちょっとさみしいなあーなんて思ってみたりしてます…

のご指摘に、まったく頷くところ。
 なお、パブリックコメントでは、出産育児一時金の加算に関する判定に当たって実務担当者を悩ませると懸念された「出産育児一時金等の支給申請を行う際に必要な書類」についても規定されるとあります。加算方式の取扱いを実施する自治体は同様の検討が必要でしょう。
 一方、産科医療補償制度自体については、半鐘さんが加入規約をご確認の上でコメントされています。
産科医療補償制度http://hanshoblog.blog50.fc2.com/blog-entry-48.html

これまでは、分娩機関に過失が無ければ賠償しない、過失があれば(任意加入していた)医師賠償責任保険から賠償していた。
これからは、分娩機関に過失が無ければ(新たに任意加入する)産科医療補償制度から補償する、過失があれば(任意加入しておく)医師賠償責任保険から賠償する、と。

 結果として、分娩機関の過失の有無を問わず、賠償・補償の対象となるわけですが、このことによって生じうる分娩機関のモラルリスクへの対処として、日本医療機能評価機構の内部機関が重過失判定を実施することが可能な制度設計がされているわけなのですね。

なぜに分娩機関向けの制度?

 であればこそ、制度の一環として「脳性麻痺発症の原因分析を行い、将来の脳性麻痺の予防に資する情報を提供」が一方にうたわれているということなんでしょうかね。
 上記で半鐘さんが確認された加入規約はこちら→http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/pdf/ob_kiyaku.pdf
 その加入規約をコンテンツに含む、日本医療機能評価機構による制度自体のトップページはこちら→http://www.sanka-hp.jcqhc.or.jp/index.html