ぼくらの「怪人二十面相」

([え]2-1)怪人二十面相 江戸川乱歩・少年探偵1 (ポプラ文庫クラシック)

　本屋を覗いたら、平積みの中に懐かしい表紙が目にとまり、思わず「あ」と声が出てしまいました。
　少年期に夢中になったシリーズが、文庫版にサイズを変えて復刊です。表紙ばかりか懐かしい本文さし絵もそのまま。
　ポプラ社が少し前に、長年の親しみのある装丁を変えた際には、いささかの寂しさを覚えながらも、時代を超えて読み継がれるためには名作もお色直しが必要なのかな、と思いました。

怪人二十面相 (少年探偵・江戸川乱歩)

　小学生の娘によると、クラスの男子には少なからず読まれているようで、あらためて本シリーズの人気のほどが伺えます。
　娘にも何冊か買ってやったのですが、どうにも手を伸ばしてくれません。ぐっすん。

怪人二十面相・伝 (小学館文庫)

　こちらは、人気劇作家の手による、二十面相となった男の物語。最近、大幅に内容に手が加えられて映画化もされたようですが、原作である本作はマニアもうならせる出来です。
　主人公の魅力的な人物造形ばかりか、悪役として描かれる明智小五郎のトリックスターぶりが素晴らしい。
　舞台を戦後に移し、「青銅の魔神」を題材に取り上げた続編もあります。上記の映画化で、いずれも本屋も平済みがされているようですので、ご興味ある方は手にとっていただけたら、と思います。