条項の中の号ずらし
赴任したばかりの後輩が、次のような改め文を持ってきました。
第○条第2号を削り、第3号を第2号とし、第4号を第3号とし、第5号を第4号とする。
私「うーん、惜しい。『中』がいるなあ」
後輩「というと?」
第○条中第2号を削り、第3号を第2号とし、第4号を第3号とし、第5号を第4号とする。
私「もし、『中』を入れないとするとね、次のように書かなきゃいけないわけ」
第○条第2号を削り、同条第3号を同条第2号とし、同条第4号を同条第3号とし、同条第5号を同条第4号とする。
私「『同条』がうるさいだろ。だから、『中』の記載で『同条』であるところの『第○条』を、因数分解みたいに前に括ってしまうわけ」
第○条(−第2号、第3号→第2号、第4号→第3号、第5号→第4号)
後輩「なるほど、『中』の記述で、『第○号』の記述が、それぞれの号の記述に係るわけですね」
私「じゃあ、応用編にいくよ。第5号に改正があった場合はどうなるだろうか」
後輩「ええっと」
第○条中第2号を削り、第3号を第2号とし、第4号を第3号とし、第5号中「A」を「B」に改め、同号を第4号とする。
後輩「あれれ?」
私「気づいたみたいだね。第○条『中』で括った中に『中』ができてしまった。『中中』になってしまったわけ。これは括り直さないといけない」
第○条中第2号を削り、第3号を第2号とし、第4号を第3号とし、同条第5号中「A」を「B」に改め、同号を同条第4号とする。
私「因数分解の例だとこうなる」
第○条(−第2号、第3号→第2号、第4号→第3号)、第○条第5号(「A」→「B」)
後輩「俺、自然に書けるようになる自信が全然ありません」
私「大丈夫、1年もたてば、『お前の改め文は美しくない』って、後輩に言えるような嫌味な先輩になれるから」
そのやり取りを聞きながら、声を殺して笑うベテランの同僚。